【45歳からの資産形成】“もう遅い”と思っているならそれは間違い!人生100年時代の「時間」との向き合い方_img0
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継続的な物価上昇や公的年金の減少予測など、中高年を取り巻く環境は年々厳しくなっています。政府は新NISA(少額投資非課税制度)など投資推奨策を実施していますが、これは裏を返せば、年金の支払いが厳しくなるので、自身で資産形成してくださいという意味になります。

 

公的年金は、今後、10〜15年の間に2割程度の減額が予想されており、これが実施されれば、制度自体が破綻する心配はほとんどなくなります。したがって年金がなくなってしまうことを懸念する必要はありませんが、昭和時代の高齢者のように、老後はのんびりと年金だけで暮らすライフスタイルは、よほどの高収入でなければ実現するのは難しいでしょう。

そうなってくると、私たちが豊かな老後生活を送るためには、やはり、ある程度までは自力で資産運用することが重要となってきます。本連載では不定期という形で、中高年がどのように資産形成と向き合ったら良いのか、筆者の経験も踏まえて解説していきたいと思います。

第1回は時間との向き合い方です。

私たち一般人が投資をするにあたっては、時間を味方につけることが最も重要とされています。相場というのは常に上下変動するものであり、例えば株価ですと、激しく上がる時もあれば、一気に下落するということも十分にあり得るわけです。

過去の経験則から言うと、1年の間に20%以上の上下変動が発生する確率は7割近くもあります。投資を始めたはよいものの、いきなり2割下がってしまうこともよくある話だと理解した方がよいでしょう。

ところが株価というものを長い目で見ると、上げ下げを繰り返しながらも、最終的には物価動向に合わせて上がっていくのが普通です。一般的に株式投資の場合、年間6%ぐらいの利回りが期待できるとされています(日本の公的年金もほぼ同様の見通しを前提に運用が行われています)。

しかしながら、この6%の利回りというのは、10年、20年という長い期間を運用した時の平均値であることに注意しなければなりません。いくら6%の利回りがあると言っても、前述のように投資直後にいきなり2割株価が落ちるかもしれませんし、毎年数パーセントずつ落ち続け、15年後に一気に3倍になることもあり得ます。

将来どうなるかを予言することは魔術師でもない限り不可能ですから、いつ株価が上がるのか下がるのかといった予測をすることは、金融工学的には全くナンセンスな行為と言えます。従ってプロではない私たちが上手に投資するためには、「将来のことは分からない」ということを前提に、15〜20年程度の期間を見て運用することが重要なのです。

長い時間をかければ、よほどのことがない限り、元本割れすることは考えなくてよいと思います(ちなみに筆者は過去20年以上投資を続けていますが、元本と比較すると何倍にもなっています)。

 
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