みいさんからの質問
Q.
夫に非はないけど、一人に戻りたい欲求が。 こういう場合、どうすれば……?

離婚したい32歳(子ナシ)ですが、この機会に質問させてください。夫に非があるわけでもなく、自分に他に好きな人ができたわけでもなく、ただ何となく一人の生活に戻りたい欲求があります。もちろん、慰謝料請求も考えていません。こういった離婚の際に、2人の間でハッキリさせておくべき事柄や、取り決め方などがあれば教えてください。

特別ゲスト 原口未緒先生の回答
A.
夫が離婚に応じてくれないと、離婚はできません。 その場合は、別居を考えてください。

うーん、夫が離婚に応じてくれるなら問題ないのですが、逆に夫が離婚したくないと言った場合は、相手に非がないので難しいですね……。「慰謝料はいらない」とのことですが、そもそも夫に非がない場合は慰謝料を請求できないので、これを取引材料にすることもできませんよ。

もし夫が離婚に応じてくれた場合は、二人の間で取り決めておくことは、結婚期間中に蓄えた夫婦の共有財産の分与、についてですね。離婚するときは、離婚時または別居した時に、その時点で存在している財産の残高を二人で分けることになります。ただし財産とは、現金だけではありません。不動産や保険なども、そうです。これらは、その時点での査定額や試算額などをもとに算出し、分け合います。

さらに住宅ローンのようなマイナスの財産も、分け合う対象となります。ですから最終的には、現金や保険といったプラスの財産と、住宅ローンのようなマイナスの財産をすべて合わせ、その差引額を分け合うことになるのです。

ちなみにみいさんが両親などから相続した財産や、「二人のためではなくみいさんのためだけに」ともらったお金については、みいさん固有の財産となり分け合う必要はないので、安心してください。

さて、問題は夫が離婚に応じなかった場合です。民法が、離婚を認める判決を下せるのは、次の5つの理由があったときのみなんです。

①相手が不貞行為をしたとき

②相手から悪意で遺棄されたとき(たとえば夫または妻が病気で寝たきりなのに、放置して家を出ていった場合など)

③相手の生死が3年以上明らかでないとき

④相手が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき

⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき(性格の不一致、長年にわたるセックスレスや性的異常、配偶者の親族との不和、配偶者が働かない・浪費・借金など)


ですからみいさんのように、「ただ何となく一人に戻りたい」では、離婚を認めてもらえない可能性大です。そのときは、まず別居を考えてください。

別居中は、夫婦としての扶養義務はありますから、収入の多いほうが少ないほうに対して“婚姻費用”を支払わなければなりません。ある程度のお金をもらえるので助かりますが、反対にみいさんのほうが夫より収入が多いようでしたら、みいさんが婚姻費用を支払わなければいけなくなりますので、注意が必要ですよ。金額の目安は、月々だいたい数万円から十数万円(インターネットで「婚姻費用算定表」と検索して調べてみてください)。二人で話し合って額が決まらない場合は、裁判所で決めてもらうことになります。

そうして別居期間が長くなれば、「夫婦関係が破たんしている」とみなされ、離婚が認められる可能性が高くなります。

みいさんのケースで留意されておくべきことは、だいたい上記のようなことかと……。あとは、みいさんが今後どう生きていきたいか、その設計をじっくり練られたうえで答えを出されてください。

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PROFILE
  • 原口未緒(はらぐちみお)1975年生まれ。弁護士。学習院大学法学部卒業。2004年に弁護士登録。民事、商事、家事、刑事、倒産処理、債務整理など様々な案件を担当した後、2010年に「未緒法律事務所」を開所。夫婦、離婚案件を主に扱っている。法的な解決策を提案するだけでなく、コーチング、カウンセリング、セラピー手法を取り入れ、「心のケアもする弁護士」として人気がある。著書に『こじらせない離婚 「この結婚もうムリ」と思ったら読む本』(ダイヤモンド社)がある。自身は3度の離婚を経て、現在4度目の結婚をし第一子を妊娠中。 この人の回答一覧を見る
  • 山本 奈緒子1972年生まれ。6年間の会社員生活を経て、フリーライターに。『with』や『VOCE』といった女性誌の他、週刊誌や新聞、WEBマガジンで、インタビュー、女性の生き方、また様々な流行事象分析など、主に“読み物”と言われる分野の記事を手掛ける。 この人の回答一覧を見る