それはベルギーでのこと。その家のベッドルームで目にとまったのは、枕元の花でした。サイドテーブルに密やかに、ブルーのあざみの花が飾ってあったのです。短く切って、挿してあるのはジャムの瓶でした。これなら低くて安定感も重みもあるので、倒してしまう心配もなさそうです。窓際の柔らかい光の中で、そこはとても静かなコーナーになっていました。ふと日本での生活を振り返り、ベッドサイドに花を置く家は、どれくらいあるかなと思ったのです。ベッドルームは、ただ眠るためだけの場所になっていることが多いように思います。眠る前のひと時を過ごす時間があるかどうかーー小さな花の存在が、そんなことを考えさせてくれました。

 

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