『ドクター・ストレンジ』
監督:スコット・デリクソン
出演:ベネディクト・カンバーバッチ、キウェテル・イジョフォー、レイチェル・マクアダムス
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン TOHOシネマズ日劇ほかにて公開中
(C)2016MARVEL
突然ですが、みなさんはマーベル・コミックの映画化作品はお好きですか!? 『アイアンマン』『インクレディブル・ハルク』『マイティ・ソー』『キャプテン・アメリカ』、そして彼らが集う『アベンジャーズ』。スーパーヒーローたちの“マーベル・シネマティック・ユニバース”がハリウッドを席巻しているわけですが、私の周りでは「最新作は絶対に観る!」派と、「もはや何が何やら……。祭りに乗り遅れた」派に分かれている印象です。そこで今回は、どちらの方にも「おまっとさんでした!」とキンキンばりの勢いでおすすめしたい、マーベルの新作『ドクター・ストレンジ』を紹介したいと思います。
主人公は「私、失敗しないので」な傲慢かつ毒舌な天才医師、ドクター・ストレンジ。交通事故によって“神の手”を失い絶望した彼は、最後の望みを求めてカトマンズに向かいます。ストレンジが出会ったのは、理屈では説明できない東洋的でスピリチュアルな世界。彼は修行の末に魔術を身につけ、新たな使命と生きる意味を見出していきます。
どこでもドアのような火の輪をくぐり、時間も空間も操るキャラクターたちの戦いは、街がまるごと縦になったり横になったり、建物のなかがだまし絵のようにどんどん形を変えたりと、ダイナミックでアーティスティックな映像の連続! キャスティングも絶妙で、ドクター・ストレンジを演じるのは『SHERLOCK/シャーロック』でおなじみ、みんな大好き英国男子、ベネディクト・カンバーバッチです。
医師として命を救ってきた男が戦いに身を投じていく苦悩も描きつつ、思わず吹き出すユーモアが効いているのも(ビヨンセがネタに!)、この作品の楽しいところ。シャーロックが好きすぎて、ベネ様のお相手はワトソン以外認めないんだからね! と狭量になりがちだったのですが、この映画で彼の“相棒”となる意思を持つ浮遊マントとのやりとりがかわいすぎて、スクリーンを見つめながら好々爺のような表情になってしまいました。魔術師役にはティルダ(スウィントン)様、マッツ(ミケルセン)様と、“敬称略”はできない顔ぶれが勢揃い。マーベルファンも初心者も、ぜひ映画館で体感してほしいアクション大作です。
PROFILE
細谷美香/1972年生まれ。情報誌の編集者を経て、フリーライターに。『Marisol』(集英社)『大人のおしゃれ手帖』(宝島社)をはじめとする女性誌や毎日新聞などを中心に、映画紹介やインタビューを担当しています。
細谷さんの他の映画記事を見る