ということで前回の続きで本について、なのですが
この1-2年でいちばん感動した本かもしれません。
それがこちら。
土井義晴さんの近著「一汁一菜という提案」です。

土井義晴さんといえば、昭和の家庭料理を支えて来た土井勝さんの息子さん。
やわらかな語り口調でTVにも出ていらっしゃいますよね。
料理研究家といえば
若い頃は栗原はるみさんの本にであって器や生活の息づかいがステキで大ファンとなったのを皮切りに、(「ごちそうさまが ・・・」はきっと皆さんもお気に入りレシピがたくさん詰まっているのでは?)
有元葉子さんのシンプルなお料理と、ぜいたくな器使いのセンスに憧れたり
ここ数年は、高山なおみさんや、青山有紀さんのファンです。
土井先生といえば、お父さまの土井勝さんの「黒豆」のレシピが我が家伝統の味となり毎年のおせち料理に頂いているくらいだったのですが
この本にはこれまで読んで来たたくさんの料理の本やエッセイ以上のものが
詰まっていて、きっとこれから先もずっと手元に置いて読み続けると思う。
内容は、毎日の食事は「一汁一菜で良い」でしょう、という
タイトル通り、とてもシンプルな提案。
つまり、ご飯とお味噌汁。
毎日の献立に悩むことから解放される。
栄養バランスは一汁でしっかり摂れること。
和食、お味噌汁だからといって出汁を取らなくてはと形式張って考えることはないこと。
ややこしくなった日本の家庭の食事をシンプルにすることで、料理を自由に楽しめばよいこと。
家庭料理は頑張る必要なんてないこと。おいしくなくたって良いとも!笑
豊かな知識と背景をもとに食物史なども交えながら奥深いくも易しい「一汁一菜」のあり方と提案が続きます。
ここには一般受けのよいトレンドの言葉(腸活!とかやせる!とか、ニッポン&和食すごいだろう 感)はなく、その代わりに けじめ、や始末、ハレとケ、といったうつくしい日本語との出会いもあります。
また、元々は吉兆で修行もされていた一流の料理人である土井義晴さんだからこそ出せる日常の食をリアルに撮った写真が’’全然きれいじゃない’’ことも
とても身近な存在に感じさせてくれて、読んでいるだけで、ほっこりと身体に染み渡る、それでいてとても清らかな気持ちにしてくれるお守りのような1冊です。

何せ大食漢カップルの我が家。
毎日一汁一菜とはいきませんが
栄養満点のお味噌汁で身体をあたためながら、食卓の品数よりも
気持ちのゆとりを持って、夫や息子との時間を楽しむ日も作ったり
少しずつシフトしていこうかなと考えているところです。
食のトレンドは様々あれど、粗食、というか「素食」に勝るものなしとも感じています。何せ外にいけば日本でもアメリカでもご馳走はたくさんありますから。
そして毎日時間に追われる中で
食生活をどう構築していくかは、家族の胃袋と健康
そして食卓を中心としたこころと暮らしの豊かさに責任のあるわたしたち女性の永遠の、そして共通の課題ではないでしょうか。
次々に火がついたように流行る聞いたこともないような食材や
ダイエット方法などの情報が氾濫し、何が正しいのか分からなくなっていたり
SNSで過剰に演出された食卓の光景やお弁当を見ては、自分が足りていないのではないかと密かに罪悪感を感じることだってあるかもしれませんが
日々の生活って、そんな表層的なことではないんだなと。
まるで哲学のようであり、平易でやさしい、この提案と生き方、
とにもかくにもおすすめなのでぜひお手に取ってみてください。
※そしてこちら↓でも対談が読めます!
http://www.1101.com/doiyoshiharu/

どうぞ皆さま良い週末を。
雅子
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