『ラ・ラ・ランド』
監督:デイミアン・チャゼル 
出演:ライアン・ゴズリング、エマ・ストーン、J・K・シモンズ 
配給:ギャガ/ポニーキャニオン 2/24よりTOHOシネマズ みゆき座ほかにて公開

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Photo credit: EW0001: Sebastian (Ryan Gosling) and Mia (Emma Stone) in LA LA LAND.Photo courtesy of Lionsgate.


まだ2月なのにちょっと、いやだいぶ気が早いのですが、すでに私のなかの今年のナンバー1は決定してしまいました! もうすぐ発表になるアカデミー賞の大本命、もはや受賞は確実なのであとは何部門受賞するかに注目が集まっているミュージカル『ラ・ラ・ランド』です! タイトルをつぶやくだけで心躍るようなこの映画、ロサンゼルスを舞台に、カフェで働きながらオーディションに通う日々を送る女優志望のミアと、いつか自分の店を持ちたいと思っている昔気質のジャズピアニスト、セバスチャンの恋と夢と現実が描かれていきます。

ボーイ・ミーツ・ガールを彩るのは、ジャズのリズムと軽やかな歌、総天然色の映像で映し出されるダンス。渋滞するフリーウェイで車から路上に飛び出した人々が歌い踊るシーンをワンカットで撮ったオープニングを観た瞬間、試写室であることを完全に忘れていきなりスタンディング・オベーションしそうになりました。ふたりが丘の上でタップダンスを踊るシーンや、プラネタリウムを見ながら夜空へと浮かんでいくシーンのこのうえなくロマンチックな多幸感、思い出すだけでうっとり……、サントラも絶賛ヘビロテ中です。

 

監督が愛しているという『シェルブールの雨傘』『ロシュフォールの恋人たち』などのタイトルにピピッと反応した人はもちろん、どどーんと歌い上げるタイプの作品ではなく、わざわざタップシューズに履きかえて踊り出したりもするので(笑)、「ミュージカルは登場人物が突然歌い出すから苦手……」というタモリ派閥の人も、きっと大丈夫! 古典的なミュージカルの手法に茶目っ気のある現代的なセンスやユーモアをブレンドする匙加減が何とも絶妙で、最後まで酔わされっぱなしになるはずです。 

 

怒涛のエンディングでは、あまりの切なさと美しさに大号泣。くわしくは書きませんが、たくさんの経験をしてきたミモレ世代だからこそ心に刺さるエンディングなのでは、と思います。ちなみに私は、うまくいったこともいかなかったことも、すべてが人生の大切な1ページなんだよ、と85年生まれの若き才能、デイミアン・チャゼル監督に、人生を肯定してもらったような気持ちになりました。愛らしいにもほどがあるエマ・ストーン、笑っちゃうくらい二枚目なライアン・ゴズリングなどキャストもこれまた最高で、まだまだ話したりませんが、今日はここまで。恋をしたことがある人、失恋したことがある人。夢を追いかけたことがある人、かなえた人、かなわなかった人、つまり全人類的におすすめのミュージカル。IMAX上映もあるので、公開されたら映画館に駆けつける予定です! 

 

PROFILE

細谷美香/1972年生まれ。情報誌の編集者を経て、フリーライターに。『Marisol』(集英社)『大人のおしゃれ手帖』(宝島社)をはじめとする女性誌や毎日新聞などを中心に、映画紹介やインタビューを担当しています。
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