350花輪のサラダ

週末のある日、表参道の小さなレストランでのこと。最初に置かれた前菜に、「まぁ、きれい！」と思わず声が上がりました。縁が窪んだプレートに、まるで花輪のように盛り付けられたサラダでした。さまざまなトマトが彩りよく配され、花のよう。片方に寄せ、お皿の余白を思い切って開けたバランスが見事です。頂く時は、真ん中でどうぞ、とのこと。その日の集まりは、30年近く親しくさせて頂き、昨年逝ってしまわれた染織研究家の木村孝先生のご家族との会でした。このレストランは孝先生がお気に入りで、よく使われていたそうです。美しいことにいつも心を寄せられていた孝先生。このお店をお好きだった理由が、花輪のサラダひとつで伝わってきました。

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