4

「ノーセカンドチョイス」と「ワンアクション」が豊かな時間を生む

3
中国茶を愛して止まないドミニックさんだが、だからといって中国茶器をたくさん持つことはしない。この1セットのみ。

私のシンプルライフの基本は、「ノーセカンドチョイス」と「ワンアクション」なんです。ワンアクションとは、余計な作業を削ぎ落として一つのアクションでできるようにすること。たとえば紅茶を淹れるとき、皆さん、ティーバッグが入った箱の蓋を開けて、取り出したらまた閉めて……とやっていますよね。でも私は箱の蓋を取ってしまっているんです。そうすれば蓋を開けたり閉めたりする手間がなくて済むでしょう?

「ノーセカンドチョイス」とは、「一つの目的」に「一つのもの」という意味。たとえば、お茶は誰にとっても必要なものですが、「この茶葉!」というものが見つかったら、もう美味しい茶葉を探し回らなくて良くなります。だから私は、ガブガブ飲む茶葉と、お客様用の茶葉と、特別なときに楽しむ中国茶の3つだけに決めているんです。ただしその究極のお茶に出会うまで、どれだけ試してどれだけお金を使ったことか……!(笑)。

とにかく私は、探す時間、悩む時間を減らしたいんです。なぜなら好きなことをする時間がたくさん欲しいから。家事や仕事に忙しい読者の皆さんも、「ノーセカンドチョイス」と「ワンアクション」で、もっと好きなことをしたりゆっくり寝る時間を持ってほしいと思います。


ドミニック・ローホー
著述家。フランス生まれ。ソルボンヌ大学で修士号を取得し、イギリス、アメリカ、日本の大学で教鞭を取る。様々な国に移り住む中で、モノを持たず豊かに暮らす「シンプルライフ」を確立。それを本にまとめた『シンプルに生きる』(講談社+α文庫)がベストセラーに。他に『シンプルリスト』『99の持ちもので、シンプルに心かるく生きる』(ともに講談社)など著書多数。また禅寺や墨絵を通して日本の精神文化に理解が深いことでも知られる。


〜次回は「バードウォッチングならぬバッグウォッチング」 6月13日公開予定です〜

第一回「完璧主義ではなく快楽主義を目指す」はこちら>>
第二回「良いものは高いものとは限らない」はこちら>>
第三回「「少ない」「小さい」は快適だと知る」はこちら>>

 

新刊コラム●
『マイバッグ 3つのバッグで軽く美しく生きる』ドミニック・ローホー 著 赤松梨恵 訳

自分にとっての理想のバッグを見つけることは、自分がどう生きたいかを見つけることでもある——。大ベストセラー『シンプルに生きる』(講談社+α文庫)で知られるドミニック・ローホーさんの最新刊は、人生を豊かにするために欠かせないアイテムであるバッグ選びについて説いたもの。本当に必要なバッグの数、バッグの中身の整理の仕方、そしてそこから身も心も軽く生きる秘訣まで教えてくれています。これを読めば、究極のバッグだけでなく、自分らしい幸せもきっと見つけられるはず! ¥1100/講談社


取材・文/山本奈緒子 写真/ドミニック・ローホー著「99の持ちもので、シンプルに心かるく生きる」より
構成/大森葉子(編集部)