会社設立のタイミングで購入した、エルメスの「クリッパー」。普段は、華奢なブレスレットをコーディネートするのが好み。

30代前半の頃、時計が着けられない時期がありました。絶対にあった方が便利なのに、どうしても着ける気になれない。今振り返ってみれば、その頃は仕事で独立する少し前のタイミングで、生き方に迷ったり、自信喪失気味だったりと自分のなかで葛藤していたのかもしれません。時間に縛られたくないのに、仕事に追われて結局、時間に縛られてしまう日々。きっとそんな焦燥感から、時計に手を伸ばせなかったのだと思います。

そして40歳の時、ついに自分で会社を立ち上げました。スタートするにあたって、大好きなエルメスのステーショナリーを新調。時計も一新しようと、お揃いのエルメスで「クリッパー」を購入しました。それは、気を引き締めて仕事を頑張っていこうという自分なりの決意表明。40代の第一歩、大人の女性として、凛として美しく、しなやかに生きていきたいという願い。同時に、仕事のステージが変わり“ここが新たな時を刻むスタート地点”という思いもありました。

今では、毎朝、身支度を整えながら、自然と時計に手が伸びます。不安や迷いがなくなったわけでも、自分に自信がついたわけでもありませんが、時計を着ける楽しみや時を刻む大切さ、平凡だけど毎日を一生懸命に過ごすことの価値を、以前よりも理解できてきたのかもしれません。エルメスのクリッパーは、主張し過ぎることなく、さりげなく時を知らせてくれる時計。シンプルなので、あらゆるシーンにフィットしてくれます。かれこれ購入から5年ほど。一緒に時を刻み、人生を歩む、まるで自分の一部のような大のお気に入りです。

こんなキレイ色のワンピースにも、仕事の発表会で装うセミフォーマルなコーディネートにも、幅広いスタイルに馴染んでくれます。


CREDIT:
ワンピース/マイラン
カーディガン/スキンウェア
ブレスレット/ メゾン・ド・リーファー
バッグ/ルイ・ヴィトン

PROFILE 新井ミホさん

ラ キャルプ代表。植物療法士。フリーランスPRを経て、2012年にナチュラル&オーガニックライフ専門のPR会社ラ キャルプを設立。オーガニックコスメ&フード、マクロビオティック、薬膳、フィトテラピー等のブランディングやPRコンサルティング業務に携わる。2016年には保護猫犬たちを支援する猫ブランド「LA CHATON (ラシャトン)」を立ち上げる。安心安全を追求するナチュラルペットフードを開発・販売。 インスタグラムアカウント@mihoarai0527

構成・文/村上治子