こんにちは、ミモレの川端です。本棚を整理したら勢いがついて、ベランダにハーブを買ってきたり(照)、衣替えをしたり(遅っ)、夫の寝具を買い替えたり(自分のはマメに買ってる!)、iPhoneのカバーを変えたり(薄汚れていた)することができました。

さて、最近の心に響いた本、島本理生さんの新刊『私たちは銀のフォークと薬を手にして』をご紹介したいと思います。

本屋さんでパラパラと立ち読みをして短編集かと思って買ったら、連作短編(1つのお話として続いていました)。でも1章ごとに完結するので、気負いなく読み始められます。

「私はタイトルをつけるのが苦手で・・・」と島本理生さんがどこかのインタビューで答えてらしたのですが、これは、各章のタイトルがうますぎて、それだけでもう読んだ気になれちゃうくらいです。

「桜、生しらす、春の海」

「雨の映画館、焼き鳥、手をつなぐ」

「大阪の夜、キス、海老を剥いて」

だんだん二人の気持ちが近づいていくのが、食べ物とシチュエーションの単語からも感じられます。

ちょいちょいご飯に誘ってくれるし、いつも2人きりだし、これってデートだよね? この人、私のこと好きなのかな〜、でも自分から聞くのもどうなのか・・・みたいなあの感じ。(最近、ちょっと忘れちゃったけど)。ねえ、いいですよね、ドキドキ。

「バタやん、年下イケメンと密会発覚!?」みたいな写真(笑)。大森先輩がいつの間にか隠し撮り。油断もへったくれもないわ〜。

主人公・知世に、椎名さん(バツイチ・年上)がなかなか踏み込んでこないのは、予想だにしない理由がありました。

「どうして人生には、結婚以外の正解が用意されていないのだろう」

というのが本文に出てくるのですが。

知世の同世代の友達たちも世間的な“正解”と今の選択に悩まされています。

結婚して、子供もいて、浮気もしなくて真面目に働く旦那さんがいれば正解か、というとそうでもない。「いっぱいいっぱいの女性もたくさんいて、もっと女の人が自由に人生を選択したいと思える小説にしたかった」、と島本さんはインタビューで語っていらした。

テーマは重いですが、前向きになれる小説でした。

島本理生さんの『ナラタージュ』『Red』のような激しい恋愛小説も、心揺さぶられる醍醐味がありますが、静かに展開していくこちらも好みです。

価値観ってなんだろうとか、自分は選ばなかった別の道とか、そんなことを行間にいっぱい考えられる余白の多い小説でした。

ではではまた〜。

instagramの本紹介アカウント@batayomuもよかったらのぞいてくださいね。