日本の糖質制限ダイエットは間違っている?栄養科学博士の指摘とは_img0
 

オーガスト・ハーゲスハイマー(栄養科学博士)が教える、
糖質制限するなら「GI値」より「GL値」


食品の糖質の話になると「大事なのはGI値でしょ?」と思う方も多いかと思います。
少し前に低インスリンダイエットが流行りましたが、そのときに広まったのがGI値(グリセミック指数、Glycemic Index)という言葉でした。
  
食事で糖質を摂取すると血中に入って血糖値が上昇します。すると膵臓からインスリンというホルモンが分泌され、糖分を細胞に取り込みますが、余るとインスリンはそれを中性脂肪として脂肪細胞に蓄えさせます。
 
そこで、インスリンがあまり分泌されない(=低インスリン)食品を食べればダイエットできる、というのが低インスリンダイエットの考え方です。そのとき、各食品の血糖値の上昇度合いを示す指標として利用されたのが、GI値でした。
 

 

GI値を信じているのは日本だけ


ダイエットのために、各食品のGI値の表を参考にして、なるべく高GI値のものを避けている、という方もいらっしゃるかもしれません。しかし、実は欧米ではGI値だけを見るのは正しくない、という見方が主流になってきているのです。
 
そもそもGI値というのは、ある食品を炭水化物量50g分摂ったときの血糖値の上がり具合を、ブドウ糖を摂ったときを100の基準値として相対的な数値であらわしたもの。
たとえばにんじんのGI値は39ですが、100g中の炭水化物量は約9g。つまり、にんじんで50gの糖質を摂る場合には約560g(約4本)食べなければならないわけです。

一回の食事でにんじんを4本も一度に食べることなんて、現実にはなかなかないですよね。GI値の問題点は、実際に摂取する量を考慮していない値ということなのです。


欧米での主流は「GL値」

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そこで、いま主流になってきているのがGL値(グリセミック負荷、Glycemic Load)です。これは、(各食材に含有する炭水化物の量(g)×GI値÷100)という算出方法で、その食物に含まれる炭水化物量とGI値を掛け合わせた数値で求めます。これだと通常の一人前の食事の単位で、どの程度血糖値が上がりやすいかわかり、より現実的な数値といえます。
GL値は10までは低、11~19は中、20以上は高GL値とみなします。
比較表を見ると、GI値が高いと思われているものがGL値が低かったり、またその逆のものもあり、驚きますよね。

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どうしてこのようなことが起こるのかというと、たとえGI値が高い食品でも、炭水化物の割合が低ければGL値は低くなるのです。
わかりやすい例がすいか。すいかのGI値は高いですが、ほとんどは水分で、炭水化物の割合は非常に低いため、食べても比較的血糖値の上昇は低い、ということになるのです。

残念ながら日本ではまだGL値のことがほとんど知られておらず、相変わらずGI値を礼賛する情報が多く見受けられます。
また、本来GI値というのはブドウ糖を摂ったときの基準を100とすべきところ、なぜか勝手に白米を基準にしているものさえあるのです。
そういった誤った情報には惑わされず、GI値のみを信じるのはムダ、ということを覚えておきましょう。
(主な100食品のGL値についてはハーバード大学のメディカルスクールのホームページに掲載されています)

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オーガスト・ハーゲスハイマー

栄養科学博士。1962年福島県猪苗代生まれ。
サンディエゴ州立大学で医学を学ぶ。長年の研究から「人間の身体は自然の力で回復できる」という結論に達し、株式会社アビオスを設立。環境と健康を念頭に、無添加、無農薬にこだわる美容健康補助食品事業を行い、ココナッツオイルなどのスーパーフードを自社製品ブランドとして開発。
また、オーガニックエステティックサロンのスキンケアラインのプロデュース、レストランのアンチエイジングメニューの監修を手がけ、テレビ、雑誌、セミナーなどでも活躍。著書『老けない人はやめている』『オーガスト流 30日で体が10歳若返る食事』(ともに講談社)他著書多数。

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『最少の努力でやせる 食事の科学』

オーガスト・ハーゲスハイマー:著
講談社刊 定価:1300円(本体)

やせるために、毎日腹筋やランニングに励み、がんばって毎食炭水化物を抜き、お酒をノーカロリー飲料に変え、ささみを食べる……。実はこれらはすべてムダな努力だった! 効果が出ないばかりか、逆に太ってしまう可能性さえあるのだ。「40代からの美しい腹筋はジムではなく食事から作られる」という、55歳にして体内年齢30代の著者が実践する、効率よく、引き締まった体を作る最強の食事法を紹介。
四六判 仮製 本文176ページ
ISBN978-4-06-299880-2

(この記事は2017年10月19日時点の情報です)
撮影/渡辺允俊(講談社) 構成/河野仁見(講談社)