ハリウッドで活躍する、輝くシニア世代セレブのエイジングにまつわる名言をご紹介するこの企画。今回は、今年7月31日に89歳で亡くなった、フランスの大女優、ジャンヌ・モローにフィーチャーしたいと思います。
私がジャンヌの魅力に初めてはっとしたのは、映画『ニキータ』で、ヒロインのニキータに女性らしさの手ほどきをしていく元工作員の役を演じていた彼女をスクリーンで観たとき。ニキータを鏡の前に座らせて、ルージュの引き方を教える。そのときのジャンヌのかっこよかったこと! このときすでにジャンヌは60代ですが、「こんなに素敵なおばあさん(という言葉はジャンヌに最も相応しくないですが)が世の中に存在するんだ!」という衝撃を受けたことを覚えています。シワなんて感じさせないほどのエレガンスと品の良さ。恥ずかしながら、子供の頃に観たはずの『突然炎のごとく』や『死刑台のエレベーター』でのジャンヌの印象は全く記憶にないのですよね〜(汗)。まだ子供すぎて、彼女の良さがわからなかったのでしょうか……。
前置きが長くなりましたが、ジャンヌが惜しくも世を去ってしまったこの夏、様々な媒体で彼女のエピソードを読むたびに「なるほど、こんな素敵な生き方をしたからあんなに魅力的な歳の取り方をしたんだな」と思うことしきりで。今更ながら彼女に興味を持ち、ドハマりしているところなのです。
そんなジャンヌの遺した名言のひとつが、先日このコラムでも紹介したこちら。
「私はお金も知性も名声もすべて持ってる。
だから男性は美しければいいの」
個人主義な国として知られるフランスでも、自立した女性を体現する存在としてリスペクトされていたジャンヌですが、これはまさに、精神的にも経済的にも自立した大人の女性だからこそ言えるセリフ。44歳のときに19歳の男性と暮らしたというエピソードもご紹介しましたが、やっていることはマドンナと変わらないはずなのに、なぜかマドンナよりもジャンヌの方が、ずっと潔くて精神的に強い女性に感じられる。それは恐らく、ジャンヌが、男性に依存しないでも自分に自信を持てるほどの真の強さを持っているから。
「自分のグラスにはまだ半分残っていると思うことにしたの、
もう半分しかないとは思わずに」
この言葉、ちょうど人生半分生きて来た私たちミモレ世代に、ぐっと来ませんか? 50代の頃には、すでに映画界では生ける伝説のような存在となっていたジャンヌ。けれど出演作にはなかなか恵まれず、若手監督たちの映画に出演したり、自ら監督を務めて映画を撮ったりと、キャリアの模索が続いていた時期。さらにこの時期、フェイスリフトの施術を受けたことも告白しています(ナチュラルエイジング派かと思いきや、ちょっと意外な選択……)。ジャンヌ様ほどの女性でもそんなモヤモヤする時代があったのかと思うと、なんだかホッとするのと同時に、そこで守りに入らずに美容もキャリアも挑戦し続けたからこそ、その先の素敵な70代、80代があったのだなあと思わずにいられません。
ジャンヌはこんな言葉も口にしています。「女が性的に認められるのは、思春期から子供が産めなくなる更年期までだけ。そんな見方が変わらなくちゃいけないし、事実ゆっくり変わりつつあるわ。女は四十代、五十代、いえ七十代でもセクシュアリティと官能性を失わず、内なる世界と精神性を追及できるという見方がゆっくり定着しつつあるわ。限界なんてないのよ」
長くなったので次回に続きます。
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