「あなたはあなたのままでいい」という大草編集長の思いとともにスタートしたミモレは今、次のステップに進もうとしています。すでにダイアリーで大草編集長がお伝えした通り、2018年6月いっぱいで大草編集長が卒業。次のリーダーとして大森がミモレを引っ張っていくことに。

そこで、今日から3週にわたり、大草編集長と大森の対談をお届けします。出会いから今に至るまで、そしてこれから先の未来に向けて…。新しいミモレへの道筋を語ります。

 


出会いは約20年前。
当時は会話もなく……


大草 初めて会ったのは婦人画報社(現ハースト婦人画報社)のヴァンテーヌ編集部だったよね。大森ちゃんは私のひとつ下の代で。はじめはお互い違う編集部に配属されて、私のほうが先にヴァンテーヌに異動になって。大森ちゃんはいつきたんだっけ?

大森 たしか入社した翌年の夏くらいです。

大草 じゃあ、私がヴァンテーヌ2年目を迎える前に来たってことか。ヴァンテーヌは他の編集部がやっているようにフリーランスのスタイリストさんやライターさんにお願いすることはなくて、編集部内でチームを組んで、編集、スタイリング、ライティングなどすべてをこなしていたんだよね。そういえば、大森ちゃんとは、同じチームになったことなかったね。

大森 そうですね。なぜなら、当時の私たちはペェペェ同士だったから(笑)。新人は先輩と組むのが通例でしたから。

大草 そうだ、そうだ(笑)。互いに超ペェペェだったものね。

大森 入った直後は、スタイリストとライターのアシスタント的な仕事をしていました。

大草 言われたことはその日のうちに終わらせなければいけなかったから残業も当たり前。だから、最初の1年は自分の時間もなかったし、そもそもあまり記憶もないなぁ。

大森 本当に。ただただ、先輩の指示をこなすことに必死な時期でした。私、今でも靴の底張り(リースした靴のソールを養生して傷がつかないようにすること)には自信がありますもん(笑)。


まったくタイプの違うふたり。
お互いの第一印象は?

 

大森 大草さんの第一印象は、優等生。楽しくも厳しい現場だったので、ヴァンテーヌ的素養がない私は先輩から怒られてばかりだったのに、大草さんはまったく怒られなくて。「なんなんだよー」って、いつも思っていました(笑)。

大草 そうだね、あんまり怒られたことはないかも。

大森 まるで避雷針のようでした。まわりにいると、先輩たちの雷が大草さんをよけて、全部私や私の同期に落ちる、みたいな(笑)。

大草 私はとにかくヴァンテーヌが大好きで、大好きで、読み込んでいたから雑誌のDNAは染み付いていたし、怒られる要素が少なかったのはそのせいもあるんじゃないかしら。大森ちゃんは多分違うと思うのね(笑)。

大森 私の学生時代はヴァンテーヌ全盛期だった時代だったとも思うのですが、まったく通っていなかったんですよ(笑)。異動したばかりの頃、先輩にサンプルセールに連れて行かれて「ヴァンテーヌっぽい服を買いなさい」って言われたのを思い出します。「はい!」と言いながら、まったく買いませんでしたけど (笑)。大草さんは、当時、とてもヴァンテーヌらしいファッションでしたよね。私たち、見た目も働きぶりも本当にまったく違うタイプだったと思います。

大草 正直、当時の大森ちゃんの記憶があまりないの。同じチームだった人の記憶はあるんだけど、とにかく忙しすぎて。前を見て走らないと置いていかれちゃうから、それ以外のことは見えないって感じで。こんな風に話したこともなかったよね。

大森 そうですね。なりゆきでランチに行ったことはあった気がしますけど、なかった気もします。

大草 いや、ほとんどなかったと思うよ。大森ちゃんは逃げてひとりで行ってたもん。

大森 あ、バレてましたか(笑)。いわゆる“THEヴァンテーヌ”な先輩たちの輪から放たれる空気感が苦手で、“裏ヴァンテーヌチーム”をこっそり結成して深夜にボーリングしたり、カラオケに行ったりしてました(笑)。

大草 そんなことしてたんだ(笑)。

かなり前から知り合いだったふたり。まさかこんなふうに密に仕事をする関係になるとは思いもよらなかったのだそう。次回は、ミモレを立ち上げた当初のことを振り返ります。

撮影/目黒智子 取材・文/榎本洋子

 

中編はこちら>>