ーー今、背中丸まってたなと気づいたら、シャンと背筋を伸ばすとか。

そうですそうです。とくに何かをしているわけではないけど、そういうチェックはしています。私は趣味で乗馬をやっているんですが、乗馬も結局は姿勢が一番大事なんです。身体の軸をまっすぐにして座れていないと、馬って動かないんですよ。私は始めたのが遅くて40代になってからでしたけど、乗馬をきっかけに身体の傾きはずいぶん治しましたね。

身体は、バッグの持ち方ひとつでも歪むっていうでしょう。片方の肩にかけるよりはリュックの方がまだいいけど、リュックも肩が前に出てきちゃうってことにも最近気づいて、同じ持ち方をずっと続けないようにしたり。スマホを見る姿勢も首にすごく負担がかかるって言いますしね。そういう無意識でやっていることを変えないと変わらないから。常にチェックすることが習慣になるといいんじゃないかなと思います。

自分も周囲も面白いと思えるような作品は、10年に1本

 

 

ーー『桜の園』の、変わることを求められる時代というのは今の私たちにも通じるところですが、そういう中では一つのことをやり続ける難しさも感じます。そんな中で、原田さんは来年、デビュー50周年を迎えるということで。

自分でもびっくりです。(今年開場50周年で、『桜の園』が上演される)PARCO劇場とほぼ同じです。

 

ーー本当にすごいことだと思います。その間に3人のお子さんの子育てもされて。原田さんにとって、一つのことを続けられるモチベーションって何でしょうか。

やっぱり、知らないことを知りたい、あったことのない人に会いたい、会ったことのない自分に会ってみたい。そういう好奇心なんですよね、自分を引っ張ってくれるのは。いつも同じことをやるのは飽きちゃうし。これは本当に思うことなんですが、自分が面白いと思って、さらに周囲にも面白いと思ってもらえるような作品って、10本に1本だったり、はたまた10年に1本だったりする。本当に少ないです。

その”10年に1本”に出会うためには、9年11ヶ月は持ち堪えないといけない。それは来年かもしれないし再来年かもしれない。もしかしたら一生来ないかもしれないけど、それまで俳優として生き続けなかったら次の出会いはないわけです。

でもだからこそ、そういう作品に出会えた時が幸せだし、次もそうかもという期待や興味を持ち続けられるんだと思います。たとえうまくいかなくても、あーだめだったね、はい次! と切り替える。だってうまくいかない時は絶対にあるんですから。