10月1日が「コーヒーの日」だということをご存知でしたか? 特に語呂合わせではなさそうですが、なぜこの日なのか。UCC上島珈琲のサイトによると、「国際協定によって、コーヒーの新年度が始まるのが10月で、この日がコーヒーの年度始め」となるため、全日本コーヒー協会がこの日を「コーヒーの日」と定めたのだそうです。

 

普段何気なく飲んでいるコーヒーですが、「2050年に、コーヒーが飲めなくなる!?」という気になる内容を紹介しているのが、バリスタ・井崎英典さんの著書『世界のビジネスエリートは知っている教養としてのコーヒー』。井崎さんは、2014年のワールド・バリスタ・チャンピオンシップにてアジア人初の世界チャンピオンとなった人物。コーヒーにまつわる著書も多数執筆していて、本書ではコーヒーの歴史や文化、ビジネスに至るまで、豊富な知識をもとに紐解いています。

そんな井崎さんが考える、2050年の課題、そして未来への挑戦とは——? 本書から特別に一部抜粋してお届けします!

 

2050年、コーヒーが飲めなくなる!?


コーヒーの未来について語るなら、避けて通れないのが「コーヒーの2050年問題」です。気候変動によって、アラビカ種の栽培に適した農作地が2050年には半分に減少すると予測されており、「コーヒーが飲めなくなるかもしれない……」と深刻視されているのです。

初めてこの問題提起がされたのは2015年のミラノ万博でのこと。このまま地球温暖化が進めば、栽培時の平均気温が上がって降雨のパターンが変化し、収量が減るとともに品質も低下すると言われています。

コーヒーは気候の影響を非常に受けやすい作物です。とくにアラビカ種は、栽培に適した土地が限定されます。コーヒーベルトの中でも標高が高く、寒暖の差が大きいところでないと栽培に適しません。平均気温は年間通して20~25℃が適しており、暑すぎると病害のリスクが高まり、寒すぎても霜のリスクが高まります。適度な降雨量も必要で、干ばつが起こると収量が低下します。