「女性のからだの物語を四季にたとえるとするならば、更年期は秋。やがて来る冬の時期を快適に迎え入れるための、準備期間」。植物療法士・森田敦子さんは、著書『私のからだの物語』の中でそう語ります。女性の性と向き合い、世の中の女性たちを大いに励ましたベストセラー『潤うからだ』から6年、最新作では女性の一生を辿りながら、それぞれのステージにおける「性」との向き合い方を教えてくれます。今回はそんな本書より、女性のからだの秋の季節に、自分の性と向き合う方法を、一部抜粋してご紹介しましょう。


「あの人を見るときゅんとする」——更年期を楽しむ「妄想力」


40年、50年、女性を生きてきて、いま。あなたは「性欲」というものを誰に向けているでしょうか。

「性欲なんていうもの、パートナーはもちろん、誰にも、全く湧きません」
「もちろんパートナーに愛されたいとは思うけれど、どうせうまくいかないだろうと、あきらめています」

 

そんな想いを抱えている人たちにくり返しお伝えしたいのは、「食欲」「睡眠欲」同様に、いくつになっても「性欲」があるのは人として普通のこと。現状がどうであっても、「想いは自由」。そして、その想いに対しては、誰もが「正直であっていい」ということです。

それぞれが本来は持っているはずの性欲。そしてセンシュアルな気持ちと重なって、パートナーとの触れ合いに結びつくもの。これも「私のからだ」を育む母性のひとつであり、女性性のひとつです。

セックスとは決して、激しいもの、相手を満足させなければならないもの、射精に至らなければならないものではなく、背中をなでてもらいたい、キスをされたい、手を握りたいなど、「触れ合いたい」と望む気持ちこそが大切なのです。

けれど、そういう想いすら「湧きません」となってしまう状態は……。性科学という観点から見ると、
「いま、あなたは疲れていませんか?」
「本能が働いていない状態ですよ」
「それ以上疲れてしまうのは、からだにとって危険ですよ」
「あなたはこの人でいいのですか?」
というこころとからだへのメッセージでもあるのです。