「令和3年度に全国で行われた犬猫の殺処分数14,457頭」「その内、猫が11,718頭と殺処分の大半を占め、さらにその6割以上が生後間もない子猫」――衝撃的な数字を教えてくれたのは、SNSで話題のコミックエッセイ『たまさんちのホゴネコ』の著者である保護活動者「たまさん」。

保護猫活動を続ける「たまさん」

そうした動物たちをどうやったら救えるのか——そんな思いに動かされて行動したことが今の活動の原点だと「たまさん」は語ります。今や人間の日常生活に当たり前のようにいる、そして人によってはかけがえのない存在であるペットたち、その裏には様々な「知られざる現実」があるといいます。

前編はこちら【保護猫活動の実態】必要なのは、愛よりも"物理的に準備をする"こと。『たまさんちのホゴネコ』著者インタビュー>>

 

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──たまさんは個人の保護活動者になる前に、公益社団法人の保護施設で働いていましたよね。民間のそういう施設の役割ってどのようなものなのですか?

人間によって行き場を失ってしまった動物を一時的に保護し、家庭動物としての訓練や、怪我などの治療、不妊・去勢手術、ワクチン接種などを行い、新たな飼い主と動物との出会いをサポートするのが一般的な役割です。基本的には里親を探すことを目的としていますが、譲渡には慎重です。疾患や障害で譲渡が困難な動物については、施設によっては終生飼育もおこなっている場合もあります。

一般の方の相談が寄せられることもあります。例えば「アレルギーになってしまってどうしたらいいか」とか「自分が入院することになり、飼えないので引き取ってください」とか。私がいた施設ではそういう相談が一日に何十件もあり、保護された犬猫が合わせて500頭以上いて、警察からは迷子の動物が直接持ち込まれたりもしていましたが、一般からの新しい引取りは待ってもらっている状況でした。

ただ民間の団体の状況や判断はそれぞれなので、保健所などと繋がっていて一般からは受け付けないという施設もあると思います。

骨折し衰弱しきっているところを保護された、白血病を患っている“あくびちゃん”。