【場所別の避難方法】地震に巻き込まれたときの適切な行動は?

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これまでは巨大地震発生を想定した「対策」を見てきましたが、ここでは地震に直面したときに取るべき行動について触れたいと思います。

地震発生時の行動に関して、宮地さんはどこに「いる」か、どこに「逃げる」のかが生死を分けると言います。一方、神戸市消防局がまとめた『阪神・淡路大震災の消防活動記録』を見ると、地震発生時は約2割の人が「自分の身を守るのに精いっぱい」、約3割が「布団をかぶった」、約4割が「何もできなかった」と答えていることから(複数回答によるアンケート)、多くの人がいざ地震に直面すると「避難」を考える余裕を失っていることが分かります。

 

そこで宮地さんは、専門家の見解をもとに震災発生時に取るべき行動を場所別にまとめました。大きな揺れの中で冷静さを保つのは難しいかもしれませんが、下記のような予備知識があると、少なくとも危険な行動を取ることは防げるかもしれません。ぜひご一読ください。

【家】転倒物から頭を守る
丈夫なテーブルがあれば下に隠れて揺れが収まるのを待つ。物が「落ちてこない」「倒れてこない」「移動してこない」ところがどこなのか事前に確認しておこう。身を守る場所がなければ、座布団などで頭を保護する。慌てて外に飛び出すと、転倒やガラスの破片などでケガをするおそれがある。揺れが収まったときに避難できるよう部屋の窓や戸を開け、避難口を確保。ガスの元栓を閉めて電気のブレーカーを切る。

【職場】エレベーターは使用しない
高層ビルは高層階ほど大きく揺れる。棚は倒れ、コピー機のような重いものは大きく移動することがあるため事前にチェック。発生時はなるべく離れる。ドアや窓を開けて避難口を確保する。事前に確認しておこう。エレベーターは使用せず、階段で避難する。すでにエレベーター内にいる場合は揺れを感知したら最寄り階で降り、慌てずに行動する。

【スーパーや大型商業施設】係員の指示に従う
デパートやスーパー、大型商業施設にいたときはショーウインドーや商品棚などには近づかない。階段の踊り場や柱、壁際に移動する。丈夫なテーブルや椅子が付近にあれば、その下に隠れる。慌てて非常口や出口に向かわず、係員の指示に従う。子どもと一緒にいるときは混乱ではぐれたり、危険な場所に移動したりすることがあるため手をつないで一緒に行動する。将棋倒しが発生する可能性もある。看板の落下やガラスの破片などに気をつけながら落ち着いて行動する。

※上記に加え、本書では【路上】【地下街】【電車の中】【車の運転中】【学校】【海岸付近】【山間地】の場合についても言及しています。

著者プロフィール
宮地美陽子(みやち みよこ)さん

東京都知事政務担当特別秘書。1976年、千葉県生まれ。成蹊高校、早稲田大学商学部卒。大学柔道部で2段取得。在学中に南カリフォルニア大学(USC)交換留学。全国紙記者を務め、2016年8月から現職。

 

『首都防衛』
著者:宮地美陽子 講談社 1012円(税込)

首都直下地震、南海トラフ巨大地震、富士山大噴火など。これから首都圏および日本各地で起こるとされる地震の規模とその被害の様子を、過去の事例や最新のデータに基づいて詳細にシミュレート。さらに、政府の対策活動計画や個人でできる避難時の行動についても言及します。震災の恐ろしさを再認識させると同時に、防災意識を高めてくれる一冊です。


構成/さくま健太