関わった人を不幸にする「毒親」や「パワハラ上司」は糾弾されてしかるべきである──そうやって敵視するのは至極まっとうなことかもしれませんが、自分がそうなってしまう可能性を考えたことはないでしょうか?

もしかしたら、多くの「毒親」「パワハラ上司」は自覚がないままそうなっているのではないか……これだけ世の中のコンプライアンス意識が高まっているのに、「毒親」「パワハラ上司」関連のニュースや記事が次から次へと出てくるのはその証拠かもしれません。

もし「毒親」「パワハラ上司」の根絶を目指すのであれば、なってしまった人たちの気持ちを読み解くことが重要ではないでしょうか?

そんなときに参考になるのが、『99%離婚 離婚した毒父は変われるか』というコミックエッセイです。本書は、父親から受けたモラハラやDVの記憶に悩まされる若い女性に加え、彼女から「毒親」のレッテルを貼られた父親の視点からも物語が展開するという非常に興味深い内容になっています。

さらに興味深いのは、モラハラやDVを心底憎んでいたはずの女性が、婚約者や職場の部下に同じような行為をしてしまいそうになるところ。それだけ、モラハラやDVというのは根深い問題であることがわかります。

今回は、考えさせられる描写がたくさん詰まった本書の一部をご覧いただきたいと思います!

「毒親」だった過去を悔いたところでもう手遅れ?家庭や職場でモラハラ・DVを繰り返した男性の末路は..._img1
 

広告代理店勤務のキャリアウーマンである奈月は、ある日、悪夢にうなされて目を覚まします。その夢の中で、彼女はかつて父親から受けたモラハラやDVを再び目の当たりにしていました。

「毒親」だった過去を悔いたところでもう手遅れ?家庭や職場でモラハラ・DVを繰り返した男性の末路は..._img2
 

奇しくもその日は奈月の誕生日。父親とは思春期に絶縁して以降一度も会っていませんでしたが、彼から受けたモラハラやDVの記憶は30代を目前にした現在も奈月を苦しめていました。

「毒親」だった過去を悔いたところでもう手遅れ?家庭や職場でモラハラ・DVを繰り返した男性の末路は..._img3
 

冷静さを取り戻した奈月は、同棲中の婚約者・陽多と二人きりで誕生日を祝います。しかし、陽多のちょっとした一言が奈月の心の地雷を踏み、一気に険悪なムードになってしまいます。

「毒親」だった過去を悔いたところでもう手遅れ?家庭や職場でモラハラ・DVを繰り返した男性の末路は..._img4
 

陽多に悪意がないことも、祝福ムードに水を差すことも十分理解してはいるものの、奈月は父親への呪詛を口にせずにはいられませんでした。奈月が受けた心の傷はそれくらい深かったのです。

「毒親」だった過去を悔いたところでもう手遅れ?家庭や職場でモラハラ・DVを繰り返した男性の末路は..._img5
 

父親のこととなると感情のコントロールが効かなくなり、その後は決まって自己嫌悪に。奈月はこの繰り返しから抜け出せない自分にも腹を立てていました。

「毒親」だった過去を悔いたところでもう手遅れ?家庭や職場でモラハラ・DVを繰り返した男性の末路は..._img6
 

自分が激高したり自己嫌悪に陥ったりするのは、誰のせいでもない。悪いのはこの悪循環を生んだ「あいつ」だけ──そうやって父親を恨むことで、奈月は心のバランスを保っていました。
 

 


『99%離婚 離婚した毒父は変われるか』第1話を試し読み!
▼右にスワイプしてください▼

ⒸTamako Ryu, Ei Nakagawa 2024 Printed in Japan