いま、猫好きのなかで密かなブームになっている絵本、『ひげが ながすぎる ねこ』。
手がけたのは北澤平祐さん。個展にはおしゃれ女子が大勢集うという、いま大人気のイラストレーターです。ミモレ読者の方々には、洋菓子の「フランセ」や「キャラメルゴーストハウス」のイラストを描いた方、とお伝えした方がおわかりいただけるかもしれません。
その北澤さんと、ミモレの“かわいいものリサーチ担当”こと、「おいしくてかわいい食えらび」連載が大人気のお菓子缶研究家・中田ぷうさんの対談を実施。なにかと共通点が多く、初対面とは思えないほど盛り上がった取材の様子、後編をお伝えいたします。
前編はこちら>>【大人も読みたい絵本】猫の“ツンデレ感”がたまらない『ひげが ながすぎる ねこ』。人気イラストレーター・北澤平祐さん&お菓子缶研究家・中田ぷうさん対談
中田 実は北澤さんにお渡ししたいものがあるんです。こちら、よかったらぜひ開けてみていただけませんか?
北澤 うわぁ……すごい! この形、それに色も少しずつ違っていて。
中田 私の中では北澤さんって、ルイス・キャロルっぽいイメージなんです。絵は可愛らしいのに、何を考えているかわからないような不思議さがあって。しかも「テセレーション」を感じさせるんですよね。テセレーション(tessellation)って、図形を使って隙間も重なりもなく平面を敷きつめることをいうんですが……。このクッキー缶が北澤さんのイメージにぴったりで、今日ぜひ直接お渡ししたかったんです。
北澤 ありがとうございます。おっしゃるとおり、パズル的なものがすごく好きです。エッシャーの作品とか。
中田 エッシャーが探究したのがテセレーションなんです。
北澤 そうなんですか! たぶんかなり影響を受けています。たとえば、色を塗るときも、あらかじめ決めているのではなくて、まずピンクだったらピンクを全部のページに塗り、そのあとコントラストがつくような感じで次の色を塗って、とパズル的な感覚で塗っているのです。それこそこのクッキーのように、同じ色が隣り合わせならないようにとか。
中田 意外と理数系な頭脳をお持ちでですよね。
北澤 ほぼ唯一の趣味がゲームと音楽なんですけれど、ゲームってパズル的なので、遊びながら感覚が養われているのかもしれませんね。
中田 絶対あると思います。テセレーションって最終的には現代のプログラミングにつながっていくので。
北澤 そうでしたか。ではこれからは「ゲームをするのはエッシャー的思考、数学的思考を養うため」って言うようにします(笑)。
中田 北澤さんの絵は、一見、不思議な世界なのに、ご本人の中ではものすごく整理されていて、いっぱいトリックが隠されている面白さがあるのが素敵ですよね。
北澤 確かにモチーフを隠したりするのも好きです。誰も気がつかないような……、例えば装幀で帯の下に隠すとか、そういう遊びをこっそり入れることは多いかな。
中田 昔から、可愛らしいものがお好きだったんですか?
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