“意味がない”という意味付けも時には必要

 


——今ある情報を冷静に見つめ直して、いろいろな可能性を探っていくイメージですね。

舟木:ポジティブ思考の場合は、「いや、私は上司から好かれているに違いない!」と極端な捉え方を する場合もあって。私は、それはちょっと無理やり感があるなと思うんです。そもそもの「根拠」が乏しいじゃないですか。客観的な視点で検証していかないと、現実路線でもコミュニケーションがうまくいかなくなってしまいます。

 


——たしかに、行き過ぎたポジティブ思考だと、全部自分に都合よく考えるようになってしまいそうです。

舟木:根拠がないので、持続性がないんですよね。だから、私としては、ポジティブ思考はあまり推奨 していません。


——「無理やりはよくない」とおっしゃっていましたが、「どんなことにも意味がある」という有意味感においても、“世の中の全てに意味がある”と考えることには限界がありますよね。これはどう捉えたらいいのでしょうか?

舟木:有意味感についても、あくまで一般的には「どんなことにも意味がある」とお伝えしていますけれど、意味がないものは意味がない。だからやらない、という考え方も必要です。これは自分にとって乗り越える価値がある課題か、どんな意味があるのかを考えて、「時間の無駄かも」と思ったら、それはそれで「“意味がない”という意味付け」をしていく。

誰かに言われたからといって、自分が犠牲になってまで取り組まなくていいこともあるわけですから。無理やりではなく、まずは自分が納得する・腹落ちすることを実行することが、何事においても大切です。

『「なんとかなる」と思えるレッスン 首尾一貫感覚で心に余裕をつくる』
著者:舟木彩乃 ディスカヴァー・トゥエンティワン 1650円(税込)

1万人以上をカウンセリングしてきた公認心理師の舟木彩乃さん。本書で伝えるのは、不安やプレッシャー、焦りや凹みに対処するストレスマネジメント術「首尾一貫感覚」についてです。「だいたいわかった」「なんとかなる」「どんなことにも意味がある」と思える3つの感覚を持つために、物事をどう捉えていけばいいのか、実践的な内容を、わかりやすい言葉で詳しく解説!

撮影/小野さやか
取材・文/ヒオカ
構成/金澤英恵
 

 

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