「バツイチ子アリ」に切り替える女性、「20代」にこだわる男性

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——『恋愛結婚の終焉』の中では、男性に「年収」「家事・育児能力」に加えて「見た目」まで求める、いまの女性の「上昇婚志向」についても触れられています。SNSを見ていると、「女性たちには(男性に求める条件を)妥協してほしい」という男性の意見もよく目にします。一方で、男性も女性の若さにこだわりますよね。“求めすぎ”なのはお互い様なような気もします。

牛窪恵さん(以下、牛窪):男性が「条件を妥協してくれないと困る」と言うのなら、本来は自分がその分何ができるかを提示しないと選ばれにくいですよね。年収は250万円だけれど、家事の大半は任せてくださいとか、大学では育児について専門的に学んだので子育てに活かせますとか。でも多くの男性は、家事・育児の能力や協力姿勢が「売り」になることに気づいていません。だからこそ、「どうせ女性は妥協しないんでしょ」と諦めモードになったり、つい逆ギレしたりしてしまいます。

「若さを求める」で言うと、婚活業界の方々が決まって口にするのが、「40歳を過ぎた男性が、結婚相手は20代女性じゃないと嫌だと言って譲らない」という現実です。女性の年齢(若さ)が妊娠確率に影響することは広く知られていますが、実は拙著に書いた通り、男性も年齢を重ねると子作りにいろいろと支障をきたすことが、最新の研究で明らかになってきています。つまり、「子作りは30代までに済ませた方がベター」なのは、男性についても同じ。ですが、その現実を男性はあまり知らないし、認めたがらないんです。

 

——女性は否応なく、タイムリミットを突きつけられますからね。

牛窪:年齢面では女性たちの方が切実なので、ある時期にいい意味で開き直ったり、柔軟に考え方を変えたりする女性も少なくありません。例えば、子どもは欲しいし育てたいけれど、自分は40歳を過ぎている。だったら、バツイチ、バツ2の子アリ男性と結婚すればいいのでは? と気づいて、そうした条件での婚活に切り替える女性たちもいます。また、養子縁組に関する情報を集め、その可能性を探る人たちもいる。価値観をシフトチェンジして、角度を変えて物事を見ることができるんですよね。

男性も、50代になると仕事の先行きが見えたり、体力が衰えたりしてきますし、子どもを授かっても子が成人を迎える頃には70歳を過ぎるわけです。だから、別に子どもにはこだわらない、若い子と話を合わせるのも大変だから年齢が近い女性がいい——そんなふうに変化していく男性も、ごく一部ながら存在します。半面、10年ほど前から、芸能人や著名人を中心に「年の差婚」がブームなので、50歳前後でも「稼ぎがあれば、若い女性と結婚できるだろう」と信じて疑わない男性もいるんですよね。