こんにちは、ミモレの川端です。
あんなに蜜月に過ごし、一番仲が良かったはずなのに、なぜか決別してしまった、そんな女友達が、みなさんにもいますか? 私も思い浮かべる人が何人か・・・。

今日ご紹介するのは、前回に続きまた島本理生さんの小説なんですが、島本フリークを自負する私も、もっとも好きな作品の一つです。

単行本では2012年の作品、今は文庫になっている『七緒のために』(講談社文庫)

転校した中学で、クラスメイトと距離を保ちどこか大人びた雰囲気の七緒に振り回されながらも無性に惹かれてしまう主人公の雪子。次第に距離を詰めて、お互いになくてはならない存在になっていきます。

『私たちの関係について上に書いたけど、雪子ちゃんはきっとショックを受けそうだから捨てました』

と書き記されたルーズリーフの手紙を、七緒から雪子が受け取るところからこの小説が始まります。衝撃です。

いや〜、こういう手紙とかメールとかもらっちゃうの、めっちゃ凹みます。すごくわかりますよね。大人でもたまにある。

七緒は「小説家と文通のやりとりをしている」とか「雑誌の読者モデルを内緒でしてる」とか「声をかけられた音楽系の仕事をしている人にキスされた」とか、、、雪子にだけ秘密を打ち明けてきます。

だんだん、雪子は七緒の虚言癖(とまでは書かれてませんが)、話を盛りすぎたり、ありもしないことを本当のように語り、自分も信じているような節があるところなどに気づいていきます。

でも「嘘つき!」とみんな前で暴露したりはしない。七緒が、雪子のことを「雪子は美人だから」とか「雪子みたいに額の広い人に悪い人はいないよね」とか、ま真正面から褒めてくれるので、突き放せないんですね。

こういう思春期の「恋より特別で濃密な友情」を描いた小説は、片方が美人で奔放で、片方が地味で奥手で振り回される一方だったりするのですが、そうステレオタイプな組み合わせではないところもまたいい。

冒頭の傷つけるような手紙は、奔放に見える七緒が、雪子に依存していて、心からすがっているから、離れられないように傷つけてしまう関係の表れでした。

少し距離を置いてから、雪子がその先の自分の気持ちの真実に気づくところが見事です!!

先日、戦友とも言える旧部署のメンバーでご飯会を。

物語の結末は書かずにおきますが、この小説を読んで、あのことで、傷ついたのは私じゃなくて、あの人だった、と今になって気づくこと。もう遅いんだけど、わかって楽になった気もします。

ではではまた〜。

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