米倉涼子さんが、過去に観た映画を紹介するアーカイブ コレクション。
そのときに観た映画から、米倉さんの生き方、価値観が垣間見えます。
自分の身にありえるかもしれない“病”について覚悟するために観たい作品が『50/50 フィフティ・フィフティ』。主人公はまだ27歳でガンを患った青年なのに、全編を通して軽すぎ?って思うくらい軽快なテンポで、題材から想像するような重さはまったくなし。
カウンセリングや医師との対話のシーンを観て、日本の病院とアメリカの病院の違いを感じました。告知にしても「残念ながら……」ではなく、すごく前向きで患者さんが希望が持てるやり方のように感じたんです。
実際にガンを克服した脚本家の経験をベースにしているからか、ポジティブな描写が多くて、つらい闘病経験のある人のなかには怒る人もいるかもしれない。でも「もっと病気を楽観的に考えてみようよ」というメッセージがいいな、って思います。
主人公を演じたジョセフ・ゴードン=レヴィットをはじめ、キャストも親近感あふれる人ばかり。“自分も同じ病になったときに、こういう方向から見てみる”というシミュレーションになるなって思いました。
このページは、女性誌「FRaU」(2012年)に掲載された
「エンタメPR会社 オフィス・ヨネクラ」を加筆、修正したものです。
『50/50 フィフティ・フィフティ』
酒やたばこと無縁の青年、アダムがある日告知されたのは、5年生存率が50%だというガン。腫れ物に触るように接してくる同僚、空気を読まない母親、看病に疲れてしまう恋人……、そんな周囲の人々のなかで、変わらず明るくつきあってくれるのは親友のカイルだけ。やがてセラピストのキャサリンのカウンセリングも、アダムの心の支えになっていく。