12月2日。今までと内容がガラリと変わり、今すぐ実践できるHow toを交えた講義だと聞き、心待ちにしていたキャリアアップ連載講座七回目。今回は、Oens代表兼イメージングディレクターの髙橋みどりさんに登壇いただきました。髙橋さんといえばバーニーズ ニューヨークの宣伝部 ジェネラルマネージャーを始め、エストネーションの立ち上げに携わった、ファッション業界の第一線で活躍するキャリアウーマン。ご自身の経験をもとに「キャリアアップのためのプレゼンテーション術」と、オフィスワークのコーデ術をお話いただきました。

 


目からウロコの連続。「仕事服の意味、わかりますか?」
 

髙橋さんの最初の仕事はテレビのレポーターだったと言います。「テレビ朝日のミニ番組でファッションレポートをしたのがスタートでした。テレビはもちろん、ファッションの経験もない私が起用され、本人が一番驚いたのですが……」とジョークを交えながら自己紹介。レポーターの仕事の後は、メルローズ、ジョルジオ アルマーニなどファッションブランドのPRを任されるように。

NY-東京間を行き来することも多くなり、たくさんのアメリカ人と仕事をする機会を得たと髙橋さん。そのときの印象的なエピソードを教えてくださいました。
「バーニーズの本社のNYに出張に行った時社長が、いつもミーティングの前に“今日、どうしてその服を選んだの?”と聞くの。それも毎日(笑)」。「今日は撮影があるから動きやすい格好で」「ビジネスミーティングがあるからキチンとした洋服を選んだ」と説明したと言います。仕事が終わり、日本へ帰国する日、「君にバーニーズジャパンの宣伝部のマネージャーを任せたいと思う」と驚きのコメント。
「仕事の内容に合わせ、洋服を選んでいることが認められたのでしょうか。社長のファッションセンスは仕事のセンスにもつながると言いその時から仕事とファッションは切り離せないのだと、実感しました」。

「仕事をするのにトレンドなんて必要ありません。仕事は仕事。ファッション誌を見て仕事服を決めるなんてしなくていいんです」と断言する髙橋さんの言葉に目からウロコ。「トレンドよりも仕事でお会いする方に失礼にならない服を選ぶことを優先して。最近、ジャケットやシャツを着ない人が多いですが、ジャケットはキチンと感も出るし、相手の方を慮る仕事服としては最高のアイテムなんですよ」。


仕事服に黒を選ぶ人が多いけど、ナゼ?
 

今回は髙橋さんに聞きたい、教えてほしい質問をまとめて回答していただくQ&A方式の実践型授業。早速、質問に答えていただきました。

「仕事服となると、ブラック(黒)、ネイビー、グレーの地味な色を選んでしまいます」という悩みに対し、髙橋さんは「なぜ、黒なの?」と逆質問。
「黒は冠婚葬祭、フォーマルな場で使用する色です。ダメとは言わないけど、仕事服には向いていないんです。反対に、ネイビーは日本人の肌色をきれいに見せてくれる色。グレーもブラックに比べ、柔らかな印象を与えてくれます」とアドバイス。

とは言っても、トレンドだって取り入れたいというのが世の女性の本音。「そういうときは靴やバッグ、アクセサリーを使ってみては? たとえば、今年の秋冬は赤がトレンドカラーですよね。もちろん、OFFの洋服に赤を選ぶのはいいけど、仕事のシーンで赤を着ると浮いてしまいます。でも、それがパンプスやピアス、スカーフやアクセサリーであれば“おしゃれ”に見えるでしょ?」と。


年齢に応じた服を着ることが大事
 

「講演会でもお話するのですが、」という前置きの後、髙橋さんがミモレ世代に必要な服選びのコツを教えてくれました。
「9号の洋服といってもルミネで売っている若いブランドと、百貨店で売っているブランドでは、サイズが違うんですよ。腕だってウエストまわりだって、大人の体型に合わせた9号になっているんです。年齢に応じた服を着れば、窮屈な思いをすることもないでしょう。そのためにはいろいろなブランドの服を試着すること。そして仕事の場でどのように活用できるかを考えることが大切」と髙橋さん。

「皆さんが苦手にしているスーツだって、大人に似合うスーツがあります。素材やシルエットがまさにそれ。年齢や収入に合った仕立ての良い服を着れば、自信にも繋がります」。何が良くて何が悪いのか、そして今の私たちに足りないものは何か? を明確にアドバイスしてくれる髙橋さんの一語一句。しっかり心に受け止めながら、メモ!メモ!
 

ミモレ世代のキャリアファッションを斬る!

 

今回、授業を受けるにあたり、受講者に「当日は仕事場へ行く洋服を来てきてほしい」というメールが送られていました。ソレも納得! 前半の講義を早々に切り上げて、髙橋さんが受講者のファッションコーデのダメ出し!をしてくれるという実践編へ。

髙橋さんは時々パーソナルコーディネートの仕事を百貨店やブランドでお手伝いしていることもあり、この機会はまたとないチャンス! といっても、手を挙げてダメ出しを受けるのはかなりの勇気。“大丈夫かな”と編集部も一抹の不安を抱いていたけれど、私たちの心配をよそにミモレ受講者は次々に手を挙げるという……この積極的な姿勢に頭が下がります。

「このコーデではベージュの靴が悪目立ちしているわね」「顔まわりが寂しくなっているけど、このときはどうしたらいい?」など、今のコーデにプラスワンすることで印象が変わるテクニックを披露。ネックレスやスカーフの使い方、色の選び方も目の前で見ると納得できるし、わかりやすい! 

「受講者の皆さんはおしゃれが好きな人が多いですね。おしゃれを楽しんでいるのもよくわかります。だからこそ自分のスタイルを見つけてほしい。遅くはないですよ」と髙橋さんから温かい言葉をいただきました。
今日学んだことはどれも今すぐ実践できる内容ばかり。受講者の方にお話を聞いたところ、「何よりも“やってみよう”と行動したくなる、その気持ちになれたことが嬉しい」と。ビジネスとファッションを通じて、女性として、人としてどうありたいか。学ぶことの多い授業でした。

 

 

受講者の方から届いた感想PICK UP!
「身の丈にあった装い、に関して具体的な金額まで明示されたのが目からウロコでした。スーツの値段、いつも駅ビルで買うと安いのになぁ、とモヤモヤしていたのでホントすっきりしました。心置きなく高い服買います(笑)そして今日久々にジャケット来て会社に行きました、なかなか良い気分でした。ありがとうございます!」

「年相応の素材とバランスのとれたファッションが必要というお言葉にはとても納得しました。ビジネスの場で何も言わずとも信用をいただける装いは素敵な武器になりますね。とても参考になりました。スーツはお給料の20パーセントに、など、これから意識して取り入れたいと思います。」

「ファッション業界を開拓者として常に第一線で走ってこられた髙橋先生、とても素敵です。お話もとても面白く、ぐいぐいと引き込まれました。ありがとうございました。61歳とのこと、驚異的です!素敵な女性を目指す中で、目標のお一人になりました。」


取材・文/長谷川真弓

 


次回はとうとう最終回。大草直子編集長による「おしゃれから始まるキャリアデザイン」を紹介します。