今すぐ使える!社会人の「お願い」マナー&フレーズ_img0
 

仕事を依頼したい、上司に資料を確認してほしい……。お願いを受けてもらえるかもらえないかは相手の気持ち次第。その相手の気持ちも、頼む側の言葉次第です。丁寧な敬語で、きちんとステップを踏んでお願いすれば、快諾の可能性が高まります。
そこで、『気の利いた「ひと言」辞典』より、お願いをするときの注意点と、すぐに使えるフレーズを抜粋してご紹介します。
 

「してください」で止めるのはNG!


お願いするときに、「○○してください」という言い方をしがちですが、このように言われると、命令口調のように聞こえてカチンとくる人も多いもの。必ず「○○していただけませんでしょうか?」とお伺いを立てる疑問形にしましょう。メールなどでは、「○○していただければ幸いです」という言い方でもかまいません。
また、相手が後輩であっても必ずお伺いを立てましょう。「ちょっとやっといて」などと命令口調で頼まれたら、引き受けたくなくなってしまいますよね。快く引き受けてもらうためにも、お願いにおける言葉遣いは気をつけてください!

お願いはステップを踏むことが不可欠!


お願いをするときに大事なのは、ステップを踏むこと。ステップを飛ばすと、相手が気分を害してしまうこともあるので要注意です。

上手くいく「“お願い”の4STEP」は以下の通りです。

STEP1 お願いがあることを伝える
STEP2 具体的に用件を伝える
STEP3 なぜ相手に頼むか理由を説明
STEP4 引き受けてもらえるかどうか聞く


この中でとくに大事なのはSTEP4。必ず最後に、引き受けてもらえるか相手の意思を確認してください。お願いする相手が目下の人だとつい忘れがちですが、目下の人ほどこのステップがないと引き受けるのが嫌になるもの。「忙しいところを申し訳ないんだけど、手伝ってもらえるかな?」などと聞くようにしましょう。
もちろん、この4STEPに入る前に、お願いのタイミングを見ることも必要です。相手が忙しそうなときにお願いするのは失礼。また、機嫌が悪そうなときにお願いしても、断られる可能性が高くなってしまいます。状況を見つつ、「今お時間よろしいですか?」というひと言を言ってから、お願いの4ステップに入りましょう。そうすればきっと快く引き受けてくれるはず!

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【メールや口頭でそのまま使える! 社会人のお願いフレーズ】


・○○していただければありがたく存じます。
社会人なら覚えておきたいお願いフレーズ。受けてもらえると嬉しいという自分の気持ちを伝えることで、強要するニュアンスを消しています。

・○○していただければ大変助かります。
これも定番のお願いフレーズ。とくに、相手の仕事に不備がある可能性が高く、確認してほしいときなどは、責めるニュアンスが消えるのでお勧めです。

・お知恵を拝借したいのですが……
これは人の心を動かす気の利いたフレーズの一つ。相手のほうが経験も見識もあると持ち上げることで、分からないことを快く教えてもらえる言い方です。

・ご一考いただけませんでしょうか。
相手が引き受けることを躊躇するようなテーマのときに、「一回は考えてみてくれませんか?」というニュアンスを込めたフレーズ。主に口頭で使います。

・ご査収のほど、よろしくお願い申し上げます。
「査収」とは「よく調べたうえで受け取ること」という意味で、書類などを渡したり送ったりしたときに添えられます。メールなどの文書でよく使われます。

・お手すきの際にご覧いただければ幸いです。
「お忙しいところ恐縮ですが」のように、相手の状況を気遣っていることが伝わるフレーズ。とくに急ぎではないお願いをするときにはぜひ使ってください。

・折り入ってご相談させていただきたく……
「折り入って」は、「特別に」という意味。あらたまってお願いしたいことがあるときに使うといいでしょう。相手もお願いの重要度を察知してくれるはず。

・勝手を申し上げて恐縮ですが……
どちらかというと、相手の状況より自分の状況を優先しているお願いのときはこの言い方をするといいでしょう。強引な印象が軽減される効果があります。

・ご無理を承知でお願いに上がりました。
最初から受けてもらうのが無理な懸案事項や、一度断られた仕事をもう一度お願いするなど、捨て身の覚悟を持ってお願いするときのフレーズです。

・不躾なお願いで申し訳ございませんが……
きちんとした手順を踏んだお願いではなかったり、お願いの内容がやや強引だったり唐突だったりする場合は、このフレーズを使うのが一般的です。

・何卒内情をお汲み取りいただきたく……
経営不振や権力争いなど、社内に何か問題が起きていて仕事相手に迷惑をかけているとき。その社内事情を汲んで温情をかけてもらうために使うひと言です。

「○○」+「よろしくお願いいたします」でお願いの強弱を表現しよう!
「お願いいたします」の前につける言葉は、たくさんあります。下記に一般的なものを切実度順に紹介したので、参考にしてください。「切に」は、口頭より文章でよく使われます。「伏して」も主に文章で使いますが、一度断られたお願いをダメもとでまた頼みに行くぐらい、必死のときに使われることが多いようです。どの言葉をつけるかでお願いの切実度が変わってくるので、上手く使い分けてください。

どうぞ < 何卒 < 切に < 伏して(平に)

また、メールで「お願いします」と書く人がいますが、それは失礼。「お願いいたします」「お願い申し上げます」と書きましょう。


渡辺 由佳
東京都生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。テレビ朝日にアナウンサーとして入社。報道から社会情報番組まで多数の人気番組を担当。1993年に独立。以後、フリーアナウンサー、話し方講師としての活動を始め、「ビジネスマナー」「コミュニケーション」「ビジネスメール」をテーマに企業向けのセミナー講師も務める。大妻女子大学非常勤講師。

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(この記事は2018年5月18日時点の情報です)
構成/山本奈緒子
イラスト/田渕周平(520号)

 

第1回「気の利いたひとことが言える6つのコツ」はこちら>>
第2回「「美味しい」以外は?食事シーンの「気の利いたひと言」」はこちら>>