大物映画プロデューサー、ワインスタインのセクハラ騒動以来、「#MeToo」運動をはじめとした女性の権利を訴える、フェミニズムの気運が盛り上がっているハリウッド。そんな中、俳優のベネディクト・カンバーバッチが、『ラジオタイムス』のインタビューで、男性と同じ水準の給与を女性に支払わない仕事はボイコットすべきだと語りました。
折しも、カンヌ国際映画祭のレッドカーペットの階段で82人の女性たちが、映画界での性差別に抗議する「ウィメンズ・マーチ」を5月16日に行なったばかりのこと。このウィメンズ・マーチでは、今回の映画祭で審査員長を務めるケイト・ブランシェットを筆頭に、クリステン・スチュワートやマリオン・コティヤール、サルマ・ハエックやレア・セドゥなど、82人の映画界に従事する女性たちが参加。ケイトが行なったスピーチでは、この「82」という数字は、1946年にカンヌ映画祭がスタートしてから今日まで、この階段を上った女性監督の数字。これに対して同じ階段を上った男性監督は1688人という事実が明らかに。
「女性はこの世界ではマイノリティではないのに、現在の私たちの業界では違います」と映画業界の内情を語ったケイトは、「私たちは、職場でのダイバーシティと男女平等を求めます。そうすれば、カメラの前や後ろで女性が男性と肩を並べて活躍することができるのです」と訴えました。
そしてカンバーバッチは、前述のインタビューの中で「給与や機会の平等こそがフェミニズムにとって最も重要なこと。給与の配分や、その仕事で女性が受け取る給与を確認して、男性と同等の水準の給与を得ることができないなら、私はその仕事を引き受けません」と決意を表明。今後はカンバーバッチが新しく設立した制作会社を通して、女性に焦点を当てた作品を作り、女性の活躍の場を提供することを目指すとか。カンバーバッチっていい話しか聞かない俳優な気がしますが、またまたやってくれました!、という感じ。口ばっかりフェミニズムを訴えるより、こうやってすぐ行動に移して世の中に自分の信条を示すところがなんともかっこいい!
カンヌ映画祭は2016年にも、女性はハイヒール着用というドレスコードに抗議して、ジュリア・ロバーツやスーザン・サランドン、クリステン・スチュワートなどが裸足やフラットシューズでレッドカーペットに登場したのも記憶に新しいですよね。フランスなんて女性をリスペクトしていそうなお国柄なのに、映画業界ではそんなにもまだ旧態然とした男女格差が残っていることに衝撃です。
ちなみに映画業界の男女格差がどれくらい酷いかというと、今年1月に入ってから、女優のミシェル・ウィリアムズが主演女優を務めた映画、『オール・ザ・マネー・イン・ザ・ワールド』で、同じく主演俳優だったマーク・ウォルバーグの日当1500分の1(!!!!!!!!!!)だったことをすっぱ抜かれたのです。これはどういうことかというと、この映画はケヴィン・スペイシーが撮影後に未成年男性にセクハラを告発されたことで降板。ケヴィンの出演シーンが再撮になったのですが、そのときの日当が、ミシェルは1日80ドルだったことに対し、マークは150万ドルだったそう。「え?」と思わず数字を二度見してしまうというか、一瞬意味が理解できないくらいの格差ですよね、コレ……。しかもミシェルほどの大物女優の日当が80ドルっていうのも、とても納得できない額だし(涙)。一応、ミシェルがこの再撮に関してはボランティアで参加したという説もあるので実際にここまでの格差がある例はレアだとは思いますが。でも以前から女優と男優の出演料格差は議論されていましたもんね。——1日も早く、業界全体の性格差が改善されて行きますように。
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