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【光野桃 短期連載⑦】フランカ・ソッツァーニに学ぶ「きれいなカジュアル」

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光野桃さんがミモレに帰ってきました…! 新刊の発売を記念してスタートした短期連載。おしゃれのヒントが詰まった一冊から、ミモレ読者に役立つセレブの着こなしアイデアをピックアップして掲載します。一覧ページはこちらです。ぜひご注目ください!(川良)

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きれいな色を組み合わせて


 長くイタリア版ヴォーグ誌の編集長を務めていたフランカ・ソッツァーニさんは、とても小柄な印象の女性だった。
 身長百六十四センチと公表されているが、顔が小さくバランスがいいためか、もっとずっと小柄に見えた。その体形を生かすためのスタイルは、ブラウス、カーディガン、膝が少し見える丈のスカート、膝丈のワンピース、膝丈のコート、カラータイツ、色の靴。
 堅い印象のジャケットや個性的すぎるデザインを排し、シンプルなシルエットを組み合わせ、色で見せる、という彼女のスタイルは、日本の小柄な女性にも参考になる。
 たとえばチャコールグレーの膝丈のサックドレスに、レンガ色に近い赤みがかったカーディガン、靴はグレイッシュなブルーのワンストラップパンプス。あるいは青みがかったパープルのボウブラウスに、発色の美しい深緑色のスカート。難しい宝石のような二色を組み合わせるときの橋渡し役に、黒のカーディガンを羽織る。
 黒のトップスに、ごく淡いサテンのピンクのバルーンシルエットのスカート、それにワインレッドのパンプス。柄物はスカートかワンピースに取り入れ、必ず中の一色をカーディガンやコートに反映させた。
 女学生のようなチャコールグレーのステンカラーコートに同色のタイツ、ワインレッドの靴、という組み合わせもチャーミング。
 フランカさんはきれいなカジュアルの先駆者だった。長くファッション業界の要職にあっても攻撃的ではなく、見るひとをホッとさせる装いに、大人の女のおしゃれの役割を無言のうちに教えられた。

(光野桃『白いシャツは、白髪になるまで待って』より引用)

 

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<新刊紹介>
『白いシャツは、白髪になるまで待って』
光野桃 著(幻冬舎)定価1300円(税別)

「60代になって、びっくりするほどおしゃれが自由に、楽しくなった」。そう語る光野桃さんが「年齢を重ねてからの80のおしゃれのヒント」を本にまとめました。それらは「ベージュには黒」「陰影をブルーで着こなす」「毎日デニムとローファーだけで」「あえてノースリーブを着る」「変わりたいとき、メガネを変える」など、実際に毎日の着こなしに役立つものばかり。決して「こうしなくてはならない」というものではなく、「こっちのおしゃれも楽しいですよ~」手招きしてくれているよう。40代の「おしゃれと生き方の
トンネル期」を抜けた先には、こんなに爽やかで自由な未来が広がってくるのかと思える一冊です。


特別寄稿/光野桃 
構成・文/川良咲子(編集部)
写真/アフロ