【光野桃 短期連載⑧】
アナ・ウィンターに学ぶ「威圧感のないおしゃれ」
光野桃さんがミモレに帰ってきました…! 新刊の発売を記念してスタートした短期連載。おしゃれのヒントが詰まった一冊から、ミモレ読者に役立つセレブの着こなしアイデアをピックアップして掲載します。一覧ページはこちらです。ぜひご注目ください!(川良)
いかつい女に
なっていませんか?
何事もよくできるひとが、歳を重ねると「いかつい」雰囲気になっていくのはなぜなのだろう。
いかついは「厳つい」と書く。ごつごつしてやわらかみがない、武張った感じ。女性にはあまり使われない形容詞だ。
イメージは、肩の大きなテーラードジャケットに大股の外股でハイヒールをカツカツいわせて歩くひと。いま、大きな靴音を立てて足早に歩いているひとが多いが、膝のバネの問題なのか、骨盤が硬く突っ張っているのか、はたまた忙しさを強調したいのか、これも現代女性特有のことのように思う。
できる女ができることにこだわり続けるといかつくなってしまうのだろうか。そういうひとと話してみると、案外素顔は可愛らしい心の持ち主だったり、優しく庶民的な性格だったりして、もったいないなぁと思う。余計なお世話かもしれないけれど。
歳を重ねてまず心したいことは、押し出さないことだ。もう十分、生きてきた歴史が重いのだから、押し出すどころか引くぐらいでちょうどいい。そして「できる」という見えない肩書を手放してみる。
それでも、仕事によっては押し出さざるを得ないときもあるだろう。そんなときは、ファッションの力を借りよう。威厳はあるが威圧感はないおしゃれを。たとえばアメリカ版ヴォーグ誌の編集長、アナ・ウィンターがプリントの膝丈ワンピースやカーディガンや可愛い色の石のネックレスを常用するのもその作戦とみた。きっといい香りの香水もつけているだろう。
できるひとほど爪を隠す。その隠し場所のひとつが、おしゃれなのだ。
<新刊紹介>
『白いシャツは、白髪になるまで待って』
光野桃 著(幻冬舎)定価1300円(税別)
「60代になって、びっくりするほどおしゃれが自由に、楽しくなった」。そう語る光野桃さんが「年齢を重ねてからの80のおしゃれのヒント」を本にまとめました。それらは「ベージュには黒」「陰影をブルーで着こなす」「毎日デニムとローファーだけで」「あえてノースリーブを着る」「変わりたいとき、メガネを変える」など、実際に毎日の着こなしに役立つものばかり。決して「こうしなくてはならない」というものではなく、「こっちのおしゃれも楽しいですよ~」手招きしてくれているよう。40代の「おしゃれと生き方のトンネル期」を抜けた先には、こんなに爽やかで自由な未来が広がってくるのかと思える一冊です。
特別寄稿/光野桃
構成・文/川良咲子(編集部)
写真/アフロ
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