米倉涼子さんが、過去に観た映画を紹介するアーカイブ コレクション。
そのときに観た映画から、米倉さんの生き方、価値観が垣間見えます。
同い年ということもあって、シャーリーズ・セロンはいつも気になる存在。重みのある演技ができる、尊敬している女優さんです。でも『ヤング≒アダルト』を観て真っ先に思ったのは、これをシャーリーズがやる意味があったの⁉ ということ。
同時に、彼女は『モンスター』のように挑戦的な役柄がやりたかったんだろうな、それにこういうタイプのヒロインを彼女に演じさせたいと思うプロデューサーの気持ちもわかるし……、と複雑な心境になりました。
シャーリーズが演じたのは、ティーン向け小説のゴーストライターをしている、37歳でバツイチのメイビス。高校時代の恋人に子どもが生まれたと聞いた彼女はミネソタの故郷に帰って、彼を奪い取ろうと計画しはじめます。
元恋人が幸せになっても別にいいじゃん! なんて単純に思ってしまう私には、このあたりの気持ちの流れにはリアリティを感じられなかったかな。
結婚して子どもを産んでいないことにどこか負い目を感じている人や、本当の女の幸せって何? って悩んでいる人には、ぐさりと刺さるものがあるのかも。私はメイビスが暴走して自分の傷に塩を擦り込むたびに、この痛々しさを反面教師にしよう、と思いながら観ていました。
でも痛さを前面に押し出すなら、親友の結婚をめぐる騒動を描いたコメディ『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』くらい徹底的にやってほしかった! あの汚物がらみの下ネタは受け付けない人もいるだろうけど、あそこまで振り切れたコメディなら、観たあとで「お疲れさまでした!」と心から言えるんですよね(笑)。
というわけでメイビスに共感はできなかった私ですが、自分もやりがちだなと思ったのが、メイビスがイケてないバーに自分だけ気合の入ったファッションで現れたシーン。私も経験したことのあるシチュエーションなので、気を付けたいと思います(笑)。
クリスチャン・ディオールのCMや『サイダーハウス・ルール』のシャーリーズが好きな私としては、これからは彼女の美貌を生かした役柄を観てみたいですね。
このページは、女性誌「FRaU」(2012年)に掲載された
「エンタメPR会社 オフィス・ヨネクラ」を加筆、修正したものです。
『ヤング≒アダルト』
打ち切りが決まったティーン向け小説のゴーストライターをしている、37歳でバツイチのメイビス。学園のクイーンだった彼女は、元恋人に子どもが生まれたと聞き、彼を奪うために故郷へと向かう。