年齢とともにジワジワ高くなっていく血圧。その原因は、加齢によって血管が硬くなっていることにあります。そこで鍵を握ってくるのが、NO(一酸化窒素)という血管を柔らかくしてくれる物質。『1日1分で血圧は下がる! 薬も減塩もいらない!』の著者・加藤雅俊先生に、効率よくNOを分泌する体操を教えてもらいました。


血管を柔らかくする物質・NO(一酸化窒素)


現在、推定4300万人以上いると言われる日本の高血圧患者。でもそのうちの大半は、脳にも心臓にも異常のない「本態性高血圧」です。
このような場合、「血圧が高いから」と安易に薬で下げるのではなく、まずは自力で下げる努力をしてほしいと思います。薬を飲むのは、それでも下がらなかったときで遅くはありませんから。
とはいえ、「どうすれば血圧を下げられるの?」と思った人も多いことでしょう。その鍵は、血管を柔らかくすることにあります。
 
血管は平滑筋という筋肉によって構成されています。筋肉ですから、年をとればだんだん硬くなっていきます。そのため血液が流れるとき血管壁に強い圧がかかるようになり、血圧が高くなっていくというわけです。
その血管を柔らかくしなやかにしてくれるのが、NO(一酸化窒素)という物質。NOにその働きがあることを発見した研究は、1998年にノーベル賞を受賞しています。

【NO(エヌオー)のすごい作用】
・ 血管を柔らかくして血液がスムーズに流れるようにする
・ 血小板が凝固しないようにし、血栓ができるのを防ぐ
・ 傷ついた血管を修復したり、血管が厚くなるのを防いだりする


このNOの分泌量を増やすことができれば、自力で血圧を下げられるだけでなく、将来的にも血圧の上がりにくい血管を作ることができるのです。
 

自力で血圧を下げられる体操を紹介!


このNOはどういうときに分泌されるかというと、血流がアップして血管の内皮細胞が刺激されたとき。
そこで効果的なのが、一旦ギューッと筋肉に力を入れて血管を縮めておいてからパッと緩める、という方法です。せき止められていた血液が一気に流れますから、血管の内皮細胞への刺激が強くなり、NOもたくさん分泌されるというわけです。
水が流れているホースを足で踏んでせき止めておき、パッと足を離すと、水は何もしていないときより勢いよく流れ出しますよね。それと同じです。

 

そこでこの理論を応用し、私が考案したのが「加藤式降圧体操」です。一つの動きで筋肉を硬直させ、一気に緩めることで、効率よくNOを分泌させるというもの。簡単で短時間でおこなえ、筋力のない人も簡単にできるという、非常にお勧めの体操です。その一部をご紹介せていただきますので、ぜひ実践してみてください。
 

「部位別体操 胸」

胸の前で力を入れて合掌する
胸の前で手のひらを合わせ、ギューッと力いっぱい押し合うようにします。10秒たったら一気に力を抜きましょう。

実際、モニターの方に「加藤式降圧体操」をおこなってもらったところ、ほとんどの方が始めたその翌日から血圧が下がり始めました。効果の大きかった方では、10日で最高血圧が56mmHg、最低血圧が21mmHgも下がったほどです。
体操を毎日続けていただき、最高血圧が「年齢+90」以下に下がれば、今飲んでいる薬を卒業してもらってかまいません。
「今は正常血圧値だから必要ないわ」と思った方も、今後血圧が上がらないように、今から始めてほしいと思います。続けていただければ、一生血圧の上がらない体を目指すことも夢ではありませんから。


加藤 雅俊(カトウ マサトシ)
薬剤師、体内環境師、薬学予防医療家、ミッツ・エンタープライズ(株)代表取締役社長、JHT日本ホリスティックセラピー協会会長、JHT日本ホリスティックセラピストアカデミー校長。大学卒業後、ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社に入社。研究所(現在:中外製薬研究所)にて、血液関連の開発研究に携わる。プロダクトマネージャー就任後、全国の病院を見て回るなかで、医療現場の問題点に気づく。「薬に頼らずに若々しく健康でいられる方法」を食事+運動+心のケアから総合的に研究し、1995年に予防医療を目指し起業。「心と体の両方」をみるサロンやセラピスト養成のためのアカデミーを展開。現在、自ら指導する健康セミナーやストレッチ教室、講演会などを精力的に行いながら、テレビ・雑誌等にも出演。モデルや女優の体内環境のケア、プロ野球チームやプロアスリートのコンディショニングケアも担当する。著書に『ホントによく効くリンパとツボの本』(日本文芸社)、『薬に頼らず血圧を下げる方法』(アチーブメント出版)など多数。

 

『1日1分で血圧は下がる! 薬も減塩もいらない!』
加藤 雅俊 著 1200円(税別) 講談社

血管を若返らせ、血圧を下げるシンプルな体操を初公開。危険な高血圧とそうでない高血圧の見分け方、食事やツボ押しなど血圧を下げる生活習慣も紹介。

『1日1分で血圧は下がる! 薬も減塩もいらない!』のほか、料理、ファッション、ダイエット・美容など講談社くらしの本からの記事はこちらからも読むことができます。
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(この記事は2018年7月10日時点の情報です)
構成/山本奈緒子 写真/伊藤泰寛(講談社) イラスト/須藤裕子 

 


・第1回「血圧を薬で安易に下げるのは危険な理由」はこちら>>
第3回「減塩じゃない本当に血圧を下げる食事とは?」はこちら>>