1920年代のパリで一世を風靡した一人の日本人画家・藤田嗣治。“レオナール・フジタ”の洗礼名でも知られる彼の画業をたどる史上最大級の回顧展「没後50年 藤田嗣治展」が、東京・上野の東京都美術館で開催中です。
フジタといえば「乳白色の裸婦」が有名ですが、彼の作品の魅力はどこにあるのでしょうか? 今回の展覧会の見どころとともに、その理由を探ります。
フジタ展、ここが面白い!
① 「何でも描ける画家」フジタの波乱の画業
「藤田は基本的に器用で、何でも描ける画家だった。(中略)自分が確立した画風の枠を自ら壊し、拡張してゆくことこそ、一流の芸術家の証であると、藤田は誰よりも自覚していたのだろう」現代美術家の会田誠さんは、著書『藤田嗣治の少女』の中で、フジタのことをこのように評しています。
確かに、展覧会を見ているとフジタの絵は、裸婦から戦争画、宗教画までと、実にヴァラエティに富んでいて、その画風も繊細な輪郭線の「乳白色」時代から、べったり厚塗りの南米時代、茶色一色の戦争画時代など、大きく変化していることがよくわかります。
フランス画壇の寵児として凱旋帰国しながら、戦後は戦争責任を問われて逃げるように再び渡仏、日本の土を踏むことなく81歳の生涯を閉じたその激動の人生に歩調を合わせるかのような、画業の“波乱っぷり”。フジタの面白さが存分に味わえる内容の展覧会です。
フジタ展、ここが面白い!
②「乳白色」に至るまでの試行錯誤
フジタは、女性の柔肌を表現した「素晴らしき乳白色」の裸婦で人気を博しました。印象派の登場以降、鮮やかで多彩な色を追求し続けていたヨーロッパ画壇において、白という“色”の魅力に着目したフジタの絵は、極めてオリジナリティの高い芸術として高く評価されたのです。
技法や画材などまだまだ謎が多いと言われるフジタの「乳白色」ですが、展覧会では、「乳白色」以前のフジタの作品も多数展示。中には明らかにモディリアーニなど、当時の画家仲間の影響が見られる作品もあり、フジタが「乳白色」へ至る過程で辿った、「これがフジタ?」というような試行錯誤が垣間見えます。
フジタ展、ここが面白い!
③やっぱり「猫」と「少女」が可愛い
戦争画や大規模な壁画も手がけたフジタですが、その幅広い人気の理由は、やっぱり「猫」と「少女」の抜群の可愛らしさにありそうです。
会田誠さんは、前述の著書の中で「少女に象徴される、可愛いもの、繊細なもの、小さきものへの愛好は、生涯藤田の本当の個性であり続けていたのかもしれない」と書いています。
戦争画制作の真っ只中にも、ひっそりと猫や少女を描き続けていたフジタは、戦後、おびただしい数の少女像を描くようになるのです。
展覧会でも、随所で、愛らしい猫と少女に出会えます。意外なところに描き込まれているので、「こんなところにも猫!」と探しながら見るのも楽しそうです。
日仏両国を舞台に、激動の人生を歩んだフジタ。その波乱の画業を、代表作や初来日となる作品を含む約120点の作品でたどる展覧会。この夏、必見の展覧会です!
3000円(税別) 講談社
現代美術家の会田誠が選んだフジタの少女画85点を紹介。エコール・ド・パリの寵児として活躍し、戦中は戦争画制作に没頭した巨匠・フジタはなぜ、少女を描き続けたのか──。その答えを求めて会田は秋田、そしてランスへ。
会期:2018年7月31日(火)〜10月8日(月・祝)
会場:東京都美術館(東京・上野公園)
チケット読者プレゼントのお知らせ
5組10名様に「没後50年 藤田嗣治展」のペア鑑賞券をプレゼント
東京都美術館での 「没後50年 藤田嗣治展」(2018年7月31日~10月8日)ペア鑑賞券をプレゼントいたします。
応募締め切り:8月28日(火)〜11:59まで
●応募にはmi-mollet(ミモレ)の会員登録(無料)が必要です。
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