前回、食器棚の整理をしている話をしました。
そのことについて、もう少し書きたいと思います。

 

私は、30歳くらいの時に勤めていたレストランを辞めて料理家/ディレクターとして独立し、その頃から雑誌や本などで料理の仕事をさせていただくようになりました。撮影の際は自分でスタイリングをすることも多く、もともと器好きだったことに加えて「この雑誌はこんなテイスト」とか「今回はこんなテーマだからこんなお皿が合いそう」と、その時の仕事に合わせて器を買うこともありました。その結果、その当時の食器棚はお皿でパンパン!いろいろなテイストのものがジグソーパズルのように詰め込まれていました。

あれから10年。

40歳になった私の食器棚は、あの頃に比べるとずいぶんスッキリした気がします。

理由は「自分の定番」がわかってきたから。

どんなテイストで、どんなサイズの、どんな形の器が好きか。使いやすくて、よく食卓に登場するのか。

そして、仕事に合わせて器を買うのではなく、自分が好きで持っている器の中からそのテーマに合わせたものを選べるようになってきたからです。自分軸へシフトしたのは、少しだけ大人になれたからなのでしょうか。

また、いつでも買い替えが可能なものではなく、大切に使いたいものかどうかを基準にしてジャッジが厳しくなった分、買う数がグンと減ったせいもあるでしょう。

食器棚に向き合う作業は、自分に向き合う作業に似ています。

その時どんな気持ちでこの器を買ったのかまで見えるようで、時々顔から火が出るくらい恥ずかしい気持ちにもなります。今ではもう着ることのない(着られない)ミニのワンピースが出て着たときのような気持ちに似ているかも。
いや、その時はその時で自分なりにがんばったんだよと認めてあげるのも大切なことだけど(笑)

いちいちこんなことを考えているから整理に時間がかかるわけですが、それをすると食器を買うときの見方も変わってきます。

たくさんの「あっちゃー。。。」を繰り返して、でもそのときの自分なりに真剣にやってきたからこその、「経験」という学び。きっと、さらに10年後の私は40歳の私を「そんなこともあったわね」と気恥ずかしく眺めるのでしょう。

食器棚の整理って、なんて楽しい。

なんだかセンチメンタルな雰囲気になってしまいましたが、次回からは器を買うときのチェックポイントや、私の好きなお皿やキッチンツール、お店などについて少しご紹介したいと思います。