血圧は自力で下げられる!?女性の更年期と高血圧の関係_img0
 

加齢とともにジワジワと血圧が上がってくるのは自然なこと。そのような高血圧の場合は、簡単な運動をすれば下がりますから、薬を飲む必要はありません! ……という記事(前回の記事はこちら)を以前に掲載させていただきましたが、今回は女性ならではの高血圧についてお伝えしたいと思います。
伺ったのは『1日1分で血圧は下がる! 薬も減塩もいらない!』(講談社)の著者・加藤雅俊先生です。


痩せている女性ほど高血圧になりやすい!


高血圧というと太った男性のもので、痩せている人は低血圧ぎみ、というイメージを持ってはいませんか? とくに女性は男性よりも痩せている場合が多いので、「高血圧にはならないだろう」と根拠なく思っている人も少なくありません。が、実は痩せている人ほど高血圧になりやすいのです! なぜなら、筋肉量が少ないからです。

血液は、心臓のポンプ力によって全身に運ばれています。様々な要因で血液の流れが悪くなれば、当然心臓はより強いポンプ力を必要とするようになり、血圧は高くなっていきます。
ですが血液は、心臓だけの力で全身の隅々まで送り届けられているわけではありません。心臓から遠い場所になると、当然血流は弱まります。そこで心臓のポンプの補助係を務めているのが、筋肉です。足が「第二の心臓」と言われるのはそういうわけなのです。
痩せている人は筋肉量が少ない場合が多いので、心臓を助ける力が弱く、その結果、心臓は非常に強いポンプ力を必要とし、血圧が高くなります。

更年期と高血圧の関係って?


女性の場合、更年期の時期に血圧が高くなるということがありますが、これはホルモンの作用によるものです。

女性ホルモンには、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の2種類があり、だいたい25〜38日周期で、それぞれのホルモン分泌を繰り返しています。
閉経が近くなる更年期に差しかかると、このうち卵胞ホルモンの分泌が急激に減少します。すると脳は卵胞ホルモンを分泌させようと、体に一生懸命指令を発します。その結果、自律神経が乱れ様々な不調が起こる……というのが更年期です。
その更年期の症状として代表的なものに、ホットフラッシュ(のぼせ)があります。のぼせるということは、体温が上がり血流もアップしていますから、心臓も激しく血液を押し出しているということ。当然、血圧は高くなります。
そのため更年期の頃は高血圧になりやすいのですが、これはホルモン分泌の乱れによる一時的なもの。ホルモン分泌の減少に体が慣れてしまえば、ホットフラッシュも治まりますから、血圧も自然と元に戻っていくでしょう。過度に心配する必要はありませんし、ましてや薬で血圧を下げるなんてもってのほかです!

とはいえ、いくら更年期だからといっても、血圧は高くないに越したことはありません。そこで更年期に効くツボ押しをご紹介しますので、お悩みの方はぜひ試してみてください。
なお、このツボは、激しい怒りを抑えて自律神経を整えるツボでもあるので、イライラしがちの方にもおすすめです。

<合谷(ごうこく)>

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痛みや激しい怒りを抑えて 血圧を下げてくれるツボ「合谷」 手の甲を上に向け、親指と人差し指の骨が接している二股部分を確認します。そこから人差し指の骨を たどって、少しくぼんだ部分が合谷です。
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ツボに親指を当て、人差し指の骨の下に潜り込ませ るように押し上げてグッと圧をかけます。5秒間、徐々に圧を強くしていくのがポイント。その後、5秒かけて徐々に力を抜いていきます。これを左右5回繰り返して。


私の著書『1日1分で血圧は下がる! 薬も減塩もいらない!』(講談社)には、他にも胃腸などの消化器の不調に効くツボ押しや、クヨクヨしたときに効くツボ押しなども紹介していますので、気になる方はご覧ください。


閉経後は筋肉量を増やすためにも降圧体操を!


先ほど更年期による高血圧はあまり気にしなくても良い、と解説したのですが、運動はぜひおこなうようにしてほしいと思います。
というのも閉経後は、筋肉量がガクンと減るからです。そのため慢性的に血圧が上がりやすい状態になるのです。

また閉経後は卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌も大幅に減ります。エストロゲンは妊娠のための準備をしてくれるホルモンである以外に、肌や髪にうるおいを与えてくれ、骨も丈夫にしてくれます。それだけでなく、エストロゲンは血管若返り物質であるNO(一酸化窒素)の分泌を増やしてくれる作用もあるのです。このことからも、閉経後の女性は血圧が高くなりやすいということが言えるでしょう。
そこでぜひ、以前こちらでご紹介した「加藤式降圧体操」を毎日おこなっていただき、減ってしまった筋肉量を補ってほしいと思います。

何より、閉経後は「生理」というサインを失うことで、体の不調に気づきにくくなってしまいます。女性はこれまで、体のどこかに不調があると、生理のリズムや状態が狂うことで「体が休みたがっているよ!」と教えてもらっていました。閉経というのは、そのサインが消えてしまうということ。変わりに体調の変化を教えてくれるのが、血圧というわけです。
ぜひ体調管理のためにも、降圧体操をおこないつつ、毎日血圧をチェックしてほしいと思います。


加藤 雅俊(カトウ マサトシ)
薬剤師、体内環境師、薬学予防医療家、ミッツ・エンタープライズ(株)代表取締役社長、JHT日本ホリスティックセラピー協会会長、JHT日本ホリスティックセラピストアカデミー校長。大学卒業後、ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社に入社。研究所(現在:中外製薬研究所)にて、血液関連の開発研究に携わる。プロダクトマネージャー就任後、全国の病院を見て回るなかで、医療現場の問題点に気づく。「薬に頼らずに若々しく健康でいられる方法」を食事+運動+心のケアから総合的に研究し、1995年に予防医療を目指し起業。「心と体の両方」をみるサロンやセラピスト養成のためのアカデミーを展開。現在、自ら指導する健康セミナーやストレッチ教室、講演会などを精力的に行いながら、テレビ・雑誌等にも出演。モデルや女優の体内環境のケア、プロ野球チームやプロアスリートのコンディショニングケアも担当する。著書に『ホントによく効くリンパとツボの本』(日本文芸社)、『薬に頼らず血圧を下げる方法』(アチーブメント出版)など多数。

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『1日1分で血圧は下がる! 薬も減塩もいらない!』
加藤 雅俊 著 1200円(税別) 講談社

血管を若返らせ、血圧を下げるシンプルな体操を初公開。危険な高血圧とそうでない高血圧の見分け方、食事やツボ押しなど血圧を下げる生活習慣も紹介。

『1日1分で血圧は下がる! 薬も減塩もいらない!』のほか、料理、ファッション、ダイエット・美容など講談社くらしの本からの記事はこちらからも読むことができます。
講談社くらしの本はこちら>>

(この記事は2018年9月8日時点の情報です)
構成/山本奈緒子 写真/伊藤泰寛


・第1回「血圧を薬で安易に下げるのは危険な理由」はこちら>>
・第2回「1日1分の体操で一生血圧の上がらない体に!」はこちら>>
・第3回「減塩じゃない本当に血圧を下げる食事とは?」はこちら>>