『クレイジー・リッチ!』
監督:ジョン・M・チュウ
出演:コンスタンス・ウー、ヘンリー・ゴールディング、ミシェル・ヨー、オークワフィナ、ソノヤ・ミズノ
配給:ワーナー・ブラザース映画 9月28日(金)より新宿ピカデリー他 ロードショー
© 2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND SK GLOBAL ENTERTAINMENT


キャスト全員がアジア系の映画として全米でヒットを記録している『クレイジー・リッチ!』。すでに大きな話題を呼んでいるラブコメディが、ついに日本に上陸します。物語はニューヨーカーの大学教授、レイチェルが、親友の結婚式に参列するという恋人のニックに誘われて、彼の故郷のシンガポールへ向かうところからスタート。そこで発覚したのは、ニックが実はアジア屈指の不動産王の跡取りだということ! たしかに家のことはあまり話さなかったけれど、普段はジュース屋さんのスタンプを集めているような庶民派の彼が、玉の輿を狙う女子たちがこぞってターゲットにする、とんでもない御曹司だったのです。

中国からの移民のシングルマザーのもとで育ったレイチェルは、息子の相手にはふさわしくないと厳しく冷たい態度を崩さないニックの母。早くもはじまった嫁姑戦争と、ニックをめぐる女たちの子供じみたマウンティング合戦が、ありえないほどゴージャスで“クレイジー・リッチ”な世界のなかで描かれていきます。

 

現代版の身分違いの恋が描かれるのですが、ニックの母が許しがたいと思っているのが、貧富の差のみならず、アメリカで育ったレイチェルはバナナのように“中は白い”ということ。育ってきた文化的な背景があまりにも異なりすぎて、一族が継承してきたものは渡せないというわけです。激しいバトルが描かれるなか、知性とガッツと思いやりを手ばなさず、あくまでも自分らしいやり方で戦うレイチェルは、受け身なだけではないまさに現代的なヒロインといえるかもしれません。

親しみやすい笑顔がかわいいコンスタンス・ウーと貫禄ありの大女優、ミシェル・ヨーとの対決シーンも見応えたっぷりで、レイチェルの親友を演じた『オーシャンズ8』のオークワフィナのぶっ飛びぶりも楽しい! 趣味がいいのか悪いのかよくわからないセレブのパーティものぞき見できるし、マリーナベイ・サンズのプールがあんなことに! なんて観光映画的なお楽しみもあり。そして形は違えどレイチェルとニックそれぞれの母から子への思いが痛いほど伝わる終盤には、まさかの大号泣展開が待っています。

 

原作は世界的ベストセラー『クレイジー・リッチ・アジアンズ』。原作者のケビン・クワンがヒロインを白人にして映画化したいというプロデューサーの提案を断ったという頼もしいエピソードも聞こえてきます。ダイバーシティがキーワードになっている今だからこそ生まれた映画でもあり、インディペンデントな精神を持った“戦うプリンセス”が登場する現代のシンデレラストーリー。そして時代を問わない笑いと涙もつまった、全方位的におすすめのとびきりのラブコメディです。

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