大ヒットの前著『使いきる。』の実践篇、『「使いきる。」レシピ』(講談社)は、料理研究家・有元葉子さんのおしゃれな生活の根っこにある“しまつ”の哲学がつまった一冊。今回はその中から、有元さんに、食材をおいしく食べきるための「干す」という知恵を紹介していただきました。
「干す」という知恵でさらにおいしくする
干すといっても、市販の干ししいたけのようにカラカラに乾いたものではなく、私がよく作るのは、さわるとまだしなっとする程度に水分の抜けた「半干し野菜」。水につけてもどす手間がいらず、そのまま炒めたり煮たりして食べられるやわらかさがいいのです。
野菜は干すと身が締まり、うまみがギュッと凝縮されます。特に皮が、干すとおいしくなる。ですから皮つきのまま、食べやすい大きさに切って干します。むいた皮だけを干すこともよくあります。
干し野菜の作り方はいたって簡単です。
◎野菜を皮つきのまま、食べやすい大きさ、厚さ、形に切る。
◎重ならないようにざるに並べて、風通しのよいところに干す。
◎数時間、半日、1日……好みの“干し加減”で取り込む。
陽当たりよりも風が大切。湿気を嫌いますので、からりと晴れた日が干し野菜作りにベストです。私は数日出しっぱなし、なんていうことも実はあります。乾燥しすぎても、水につけてもどせば食べられるのだから、神経質にならなくて大丈夫。ただし、干し野菜は旬の時季に作ります。たとえば冬のきゅうりなどは、干しても美味にはなりません。夏には夏の、冬には冬の野菜を干します。
きゅうり1袋は時間差で食べる
きゅうりも、買ってきた袋のまま冷蔵庫に入れっぱなし、ということはしません。それだと鮮度が落ちる一方だし、いろいろに楽しみたいですから。
買ってきたその日に数本をサラダなどで生で食べたら、数本は切って「塩もみ」にして冷蔵庫に保存します。
そのほかのきゅうりは、切って「干し野菜」にします。きゅうりみたいに水っぽい野菜はドライにするのに時間がかかりますから、2~3日出しっぱなしでもよく、すぐに食べられない分の保存にうってつけです。
干して半日から1日目は、まだ水分が残っている「半干し」状態。この段階で食べてもいいですし、もっと水分が抜けてからでもいいのです。ベランダに干してある(屋外で保存している)きゅうりを食べたい分だけ持ってきて、かたすぎたらちょっと水でもどして食べればいいわけです。
半干しきゅうりのサラダ
材料(2人分)
・きゅうり 2~3本
・ディル、イタリアンパセリ 各2本
・オリーブオイル、ビネガー(白ワインビネガー、シャンパンビネガー、メープルビネガー、米酢など好みで)、塩、こしょう 各適量
・サラダ菜 適量
作り方
1.きゅうりは斜め薄切りにしてざるに並べ、表面は乾いているけれど、中にはまだ少し水分が残っている「半干し」にします。
2.ディル、イタリアンパセリは葉も茎も細かく刻みます。
3.ボウルに1のきゅうりを入れて、オリーブオイル、ビネガー、塩、こしょうを加えてあえ、味をからめ、2のハーブを加えてあえます。あれば器にサラダ菜などを敷いて盛ります。
『「使いきる。」レシピ 有元葉子の“しまつ”な台所術』
有元 葉子 著 1500円(税別) 講談社
「“買って、捨てる”暮らしはもうやめにしましょう」。
ものをとことん使いきる。食材もそう。野菜の葉っぱも皮もおいしく食べることで、わたしたちの暮らしは本当の豊かさと楽しさを取り戻す。
有元葉子のおしゃれな生活の根っこある“しまつ”の哲学。大ヒットの前著『使いきる。』の実践篇であるこの本には、ひとり・ふたり暮らしでもおいしく「食べきる」ヘルシーですてきなレシピや知恵が満載。
『「使いきる。」レシピ 有元葉子の“しまつ”な台所術』のほか、料理、ファッション、ダイエット・美容など講談社くらしの本からの記事はこちらからも読むことができます。
講談社くらしの本はこちら>>
構成/庄山陽子(講談社) 写真/中本浩平
・第1回「野菜の捨てる部分も無駄なく!傘よりおいしい「しいたけの軸」の活用法」はこちら>>
・第2回「食材の捨てる部分が実はおいしい!「なすの皮」のきんぴらレシピ」はこちら>>
有元 葉子
料理研究家。専業主婦時代、3人の娘の母として、家族のために日々作る料理の面白さに目覚め、いつしか料理研究家に。すぐに役立つレシピ同様、「本当にいい道具が少ないから」と、メーカーと共同開発するキッチン用品「ラバーゼ」で、もの作りにも真剣に取り組んでいる。
著書には『「使いきる。」レシピ』『毎日すること。ときどきすること。』(ともに講談社)ほか多数。