安室ちゃん。「百恵ちゃん」、「聖子ちゃん」に並んで、恐らく、どの世代からも「ちゃん」づけで呼ばれる最後のスター、安室奈美恵が9月16日、惜しまれながらも芸能界から引退しました。
‘90年代に綺羅星のように現れた、驚くほど顔がちっちゃくて9頭身で力強い歌声を持つその女の子は、アメリカで言えばSATCくらいに、それまでの日本の女の子たちの生き方や価値観まで変えてしまった存在。
平成最後の夏とともに芸能活動25年の歴史に幕を閉じるなんて、最後までやり方が鮮やかでかっこよすぎでした。
そんな安室ちゃんが引退する前、最後に表紙を飾った女性誌のカバーたちを眺めてみると、改めて、アラフォー世代となった彼女の、今も変わらない輝きに感嘆させられます。
どの雑誌も最高のスタッフを用意し、「うちの安室ちゃんがいちばん可愛いですから!」という「安室愛」アピール合戦のような様相に。トップバッターとなった講談社『ViVi』を皮切りにラストを飾った宝島社の『Sweet』まで、その気合いの入り方が半端じゃなかった(笑)。
まず、各紙、雑誌の持つ理想の女性像を安室ちゃんがそれぞれここまで見事に体現しているのがすごい。本業のモデルさんでもここまで見事に女性像を演じ分けることは、なかなか難しいんじゃないかなと思うほど。今までならきっと安室ちゃんがそのときどきでヘアメイクやファッションで打ち出したいイメージがあって、その中でできる範囲の撮影をしていたんだと想像するのですが、今回のはそうじゃない。言ってしまえば安室ちゃんが各女性誌のコスプレをしてるんじゃないかと思うほど、その雑誌のテイストになりきっていたのが面白かったです。これはご本人もきっと最後の撮影だしノリノリで楽しんでやっていたんじゃないかな〜、と。
そんなわけで、中でも個人的に印象的だった表紙をご紹介したいと思います。
引退直前の安室ちゃんカバー祭りの皮切りは、6月末発売の『ViVi』8月号。自ら「安室ちゃんが最も登場した雑誌」と名乗るだけあって、今回を含めると彼女が表紙を飾るのは34回目。さすが元祖赤文字系雑誌です。ポスター付きで全22ページも安室ちゃん特集を企画し、この8月号は発売前から予約完売が決定というフィーバーぶり。
でもこの表紙の写真のチョイスはちょっと意外。今までのViViならば、大人ガーリーか、強くてかっこいい安室ちゃんの二択だったから。今回の表紙&中面の写真は、39歳のリアルな安室奈美恵の自然体な女性らしさが際立つような、抜け感のあるヘアメイク&ファッションが素敵でした。
今の安室ちゃんはきっと、キメキメにしなくったってそのままで十分可愛らしくてかっこいい、大人の女性の魅力と自信を身につけたということなんでしょうね。
猫と安室奈美恵。ふたつのキラーコンテンツを組み合わせた写真を表紙に持ってくる辺り、さすがです。しかも付録はレスポとのコラボポーチって! 絶対売れるやつですよねコレは。
この写真、実は安室ちゃんの名曲『SWEET 19 BLUES』へのオマージュとなっているという裏話もファンにはたまりません。かなりナチュラルメイクで安室ちゃんの素を引き出した写真です。しかもモノクロで、肝心の主役である安室ちゃんの口から下は猫で隠れているのが斬新。この辺がモード誌ならではのカバーというところでしょうか。たしかに、思わず中も見たくなる表紙ではあります。
『NYLON』といえば20代前半くらいをターゲットにしたストリート誌。その世界観に見事にマッチしているこの安室ちゃんはすごい! 前髪ぱっつんヘアにトランスペアレントなルイ・ヴィトンのアウターで『不思議の国のアリス』から抜け出したような安室ちゃんは、『NYLON』的「原宿Kawaii(可愛い)」を体現しているうえ、ティーンエイジャーのような可憐さがあります。
mi-mollet世代だけど実は『ar』が大好きなワタクシ。こ、これは…っ! 彼氏の服を借りちゃった感ある大きめスウェットに裾からチラッと見えるミニの重ね着で、安室ちゃんが、『ar』的「おフェロガール」(※ar用語でフェロモンを感じさせるモテガールのこと)に仕上がっている…っ! 「おフェロ」のポイントとなっているのは、やはりこの萌え袖(※長めの袖をあえて伸ばして着ることで、男性ウケを狙うモテテクのひとつ)。表紙に大きく書かれた「BEST & FOREVER」と「愛を込めて」のメッセージに、編集部の愛が感じられます。
全雑誌の中で、いちばん甘めに感じたのが『with』。「ちゃんと大人で、ちゃんと可愛い」を雑誌のコンセプトにしているだけあって、トレンドのチェックを纏った安室ちゃんは、やや可愛い目寄りのスタイリングと空気感に。ですが、そのふわっとしたムードの中にも頬杖と腰にあてた手のポージングで、可愛いだけじゃない、大人の芯の強さを表現。
アラフォー女性向けの『otona MUSE』では、グレイッシュな色合いのドライな質感の写真が表紙に。雑誌的にはもう少し女っぽい安室ちゃんを出してくるかと勝手に思っていたので、これまた意外なチョイスでした。割と攻めてるモードなファッション好き読者がターゲットの雑誌だからか、ラストカバーもスタイリッシュなイメージに。
いろんな表紙の中でも安室ちゃんってすごいな〜、と思ったのがこの表紙。アラサーOL向けの『steady.』ですが、この安室ちゃん、ちゃんとアラサーOLに見えませんか!? 「綺麗なお姉さん」風のヘアメイクとライティングで、ちょっぴりエビちゃん風味の安室ちゃんがレアな感じ。もちろんスタッフの力もあると思うけど、これは安室ちゃんもノリノリでアラサーOLを演じているような気がしちゃいます。それくらい「仕上がってる」表紙。
『SPUR』といい、『VOGUE JAPAN』といい、モード誌はモノクロ写真を好むものなのか? 濃いめのメイクを施した、モードでレディな表情の安室ちゃん。モノクロ写真に赤とゴールド文字を乗せたドラマティックなカバーデザイン。中面のカバーストーリーの写真もすべてモノクロで、安室ちゃんのゴージャスな「ディーバ」感を際立たせる内容となっています。
「大人可愛い」を世に流行らせたアラサー雑誌『Sweet』らしく、頭にお花を飾ったラブリーな安室ちゃんが登場。中面では41ページもの安室ちゃん大特集を実施する力の入れよう。可愛い系メイクの巨匠、メイクアップアーティストの中野明海さんが担当した、この安室ちゃんのベビーフェイスメイクの可愛さよ。お肌トゥルットゥル、顔ちっちゃ! 表紙に「安室ちゃん大好き!」って書いてあるけど、本当に安室愛を感じる、彼女の良さを生かしまくったメイク。ガーリー系安室ちゃん派のファンにとってはお宝となりそうな表紙です。
いかがでしたか? 各紙が安室愛を込めて作った表紙たち。
あなたのアムロスを癒してくれるのは、どの雑誌?
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