折しも全米オープンで大坂なおみ選手が優勝し、日本人初快挙を遂げたばかり。そんな中、アメリカのカルチャーでも日本発のモノが影響力を増している、というお話を。

まずは、今年公開から30周年を迎える、大友克洋原作のアニメ映画『AKIRA』のこと。以前から『AKIRA』ファンを公言するカニエ・ウエストが、8月28日にツイッターで「この映画は俺のクリエイティビティにもっとも影響を与えている」と、大友氏がカニエが手がける人気ブランド、YEEZYのスニーカーを持って写っている画像を投稿していました。(※9月12日現在は削除されています)

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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『AKIRA』の原作者、大友克洋氏とストリートブランドSupremeのコラボ ©via @supremenewyork

そしてそのあとも続けて、「これまでのすべてのライブのステージや『Stronger』をはじめとしたすべてのMVにすべてのプロダクト、そして病院にいるときも、これはまるで『AKIRA』のようだと思っていた」と発言。

カタカナのコレジャナイ感に思わず脱力!

『Stronger』は2007年に発表されたカニエのMVで、当時も『AKIRA』の世界観をオマージュした作品だとネットでも話題になっていたようですが、先日初めて映画館で『AKIRA』を観た私にとってはなんともタイムリーな話題!

が、しかーし!! 芸能山城組の創り出した、あの荒廃的な近未来のネオトーキョーの空気感はカニエのコテコテなヒップホップ的YO-YO感でライトに薄まり、時折挿入される『AKIRA』のフォントを意識した赤いカタカナの文字は、「がんばれ」が「ガソバレ」、「殺す」は「コセロ」と、コレジャナイ感が満載(笑)。

映像自体はもちろんかっこいいんだけど、一流のクリエイターがお金をかけて作ったであろうMVなんだから、誰か日本語のチェックちゃんとしようよ、と。

そしてカニエが唐突に大友克洋氏についてツィートしたのには、『AKIRA』上映30周年である今年、カニエと大友氏が何かコラボプロジェクトを進めているのではないかという憶測を呼んでいます。去年はあのシュプリームと『AKIRA』のコラボコレクションも発売されていたし、大友氏はアメリカのストリート・カルチャーにも多大なる影響を与えているのですね。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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2017年10月に発表された、人気ストリートブランド「シュプリーム」とAKIRAのコラボコレクション。©via @supremenewyork

そしてもうひとつ、Netflix制作の映画の影響で、ヤクルトがアメリカでさらにブームになっている、というお話。ヤクルトは乳酸菌ブームも手伝って、どうやら数年前からアメリカの健康志向の人々の間で流行っているようなのですが、8月17日からストリーミング配信されている映画『好きだった君へのラブレター』の影響で、株価が上がっているそう。

日本でもNetflixで配信中です。

この映画は、アジア系アメリカ人で恋愛にオクテな女子高校生のララ・ジーンが、今まで好きになった男の子たちにこっそり出さないラブレターを書いていたのに、ある日なぜかその手紙が男の子たちの元に届けられてしまって、恋愛と向き合うことになる、という青春ストーリー。その中でララ・ジーンがヤクルトを飲むシーンが何度かあり、劇中では「韓国のヨーグルト・スムージー」と呼ばれてヤクルトの名前は出てこないものの、あの赤いアルミホイルの蓋を見れば視聴者にはヤクルトだということは一目瞭然。映画が配信されてから、アメリカでのヤクルトの株価は3%上がったんだとか。

先日、このコラムでアジア系俳優がメインキャストの映画『クレイジー・リッチ!』の大ヒットをお伝えしたばかりですが、今までヒロインの地味なクラスメイト程度だった扱いのアジア系俳優が主役を張る作品が増えて来たのは私たち日本人にとっても喜ばしい限り(ですよね?)。

―さらに、日本人なら誰でも知ってるヤクルトが世界でも愛される存在になりつつあるのは、なんだか嬉しい♪ ―アメリカでは韓国人街に売っていることが多いからなのかなぜか韓国のものと認識されているみたいだけど。

メジャーリーグに行った大谷選手も大躍進を遂げているみたいだし、もっともっと、日本の明るいニュースが世間を賑わせてくれるといいですよね!