年を重ねると、肌の変化だけでなく髪についても気になることがたくさん出てきますよね。白髪も増えるし、髪質もなんだか変わってくる。将来ハゲないかどうかも不安になってきたりして……。そんな髪に関するエイジングのモヤモヤを、『ゆる美容事典』の著者、皮膚科医の高瀬聡子先生に解決してもらいました!
Q 白髪は抜くと増える?
A 抜くことでは増えません。(が、同じ毛穴からまた白髪は生えてきます)
――白髪を見つけるとつい抜いてしまいます。でも、「白髪は抜くと増える」というウワサを聞いたこともあってちょっと不安です。
高瀬先生「これは都市伝説のようなもので、白髪を抜いたからといって、増えることはありませんよ。ただ、抜けばなくなる、ということもなく、しばらく経って同じ場所からまた髪が生えてきたとき、その髪は白髪です。抜くと毛根のダメージは避けられないので、気になる場合はハサミで根元からカットするのがベターです」
――そもそも、どうして白髪になってしまうのでしょう?
高瀬先生「毛根には、髪に色をつける細胞、メラノサイトがあります。そこで髪の色の元となる色素であるメラニンが作られ、髪を作る毛母細胞に受け渡され、髪の内部に取り込まれていきます。このメラノサイトの働きが低下してメラニンが作られなくなったり、毛母細胞に受け渡されなくなると、白髪になります。
その原因は、加齢だけでなく、強いストレスや遺伝も関係しているようですが、はっきりとはわかっていません」
Q カラーやパーマを繰り返すとハゲやすい?
A 頭皮にダメージを与えるのは事実です。
――将来、ハゲるんじゃないかも気になっています。長年のカラーやパーマが影響する可能性は?
高瀬先生「カラーリング剤やパーマ液は強いアルカリ性です。頭皮は肌と同じ弱酸性なので、PHがアルカリに傾いた状態で長時間おくことで、頭皮にダメージを与えることは事実。それが影響して将来的に髪が抜けやすくなる可能性は否めません。ただ、その相関関係は証明されていません。白髪もそうですが、髪については解明されていないことが多いのですよ」
――頭皮にダメージですか……。でも、白髪を染めたい人はどうしたらいいのでしょう?
「ひとつ言えるのは、セルフカラーよりもヘアサロンでプロに任せるほうが、頭皮の負担は少ないということ。市販のカラーリング剤は、技術がなくてもしっかり染まるよう、薬剤が強めである傾向が。
また、ヘアサロンでは頭皮をクリームなどでしっかり保護してから施術してくれるので、安心です」
Q アンチエイジングのための正しいヘアケア、教えてください!
A 基本のケアは、この5つです。
高瀬先生「ありきたりではありますが、汚れをしっかり落とすこと、頭皮の血行促進、バランスのいい食事、ノーストレス、このすべてが大切です。食事や睡眠は、肌の健康にもつながります」
1 紫外線対策
「紫外線は細胞にダメージを与え、たるみの原因となったり、皮脂を酸化させたりと、頭皮にとって百害あって一利なし!」
2 頭皮の血行を促す
「髪の栄養は、血液を通して毛母細胞に運ばれます。シャンプーやブラッシングで日々頭皮を刺激して、血行を促しましょう。ときにはマッサージもおすすめ」
3 適度に洗う
「シャンプーは頭皮の皮脂や汚れ、古い角質や髪についたスタイリング剤を落とすために大切。基本は1日1回、髪や頭皮が乾燥する人は2日に1回でもOKです」
4 バランスのいい食事
「髪の構成成分であるたんぱく質、抜け毛や白髪予防に効果的なミネラル類、特に髪の細胞分裂に欠かせない亜鉛をしっかりとりましょう」
5 ストレスをためない
「全身の血行を妨げるストレス。頭皮を硬くしますし、白髪との関係も気になります。ストレスを感じやすい人は、マッサージで頭皮をほぐして」
『ゆる美容事典 「ほどほど」「ズボラ」で美肌を手に入れる』
著者 高瀬 聡子 講談社 1300円(税別)
きれいにはなりたいけど、面倒なことはニガテ。毎日時間をかけたケアなんてムリ~。そんな美容偏差値低め女子でも大丈夫!な必要最低限の知識と、簡単かつ正しいお手入れ法がわかる高瀬先生の新刊『ゆる美容事典』。今回の記事に出てきたような、美容のさまざまなウワサやギモンもすっきり解決する1冊です。
『ゆる美容事典』のほか、料理、ファッション、ダイエット・美容など講談社くらしの本からの記事はこちらからも読むことができます。
講談社くらしの本はこちら>>
・第1回「一度できたシミは化粧品じゃ消えない? 皮膚科医が答えるホントの話」はこちら>>
・第3回「オーガニックコスメ=肌にやさしいわけじゃないって知っていますか?」はこちら>>
高瀬 聡子(タカセ アキコ)
皮膚科医。ウォブクリニック中目黒総院長。東京慈恵会医科大卒業後、同大に皮膚科医として勤務。2003年にスキンケア化粧品「アンプルール」の研究開発に携わり、2007年にウォブクリニックを開設する。専門は皮膚科と美容皮膚科。丁寧でわかりやすいカウンセリングによる美容医療と薄毛治療の人気が特に高く、雑誌、テレビなどでも活躍中。著書に『いちばんわかるスキンケアの教科書』(講談社刊)がある。