京都の老舗帯匠、「誉田屋源兵衛(こんだやげんべえ)」の創業280周年と、ギャラリー「Ippodo New York」の開廊10周年を記念した企画展「誉田屋源兵衛×ラウラ・デ・サンティラーナ 月をこそ…」が、10月6日より京都の誉田屋源兵衛本社、さらに10月12日から銀座一穂堂ギャラリーで開催されます。江戸時代から脈々と受け継がれてきた匠の技に、日本文化への理解も深いイタリアの世界的現代アーティスト、ラウラ・デ・サンティラーナ氏の瑞々しい感性が融合した、特別な展覧会となっています。


異なる素材のコントラストが見せる幻想的な美しさ


展覧会のテーマは、建礼門院右京大夫が亡き恋人を想って詠んだ、「月をこそ ながめなれしか 星の夜の 深きあはれを こよひ知りぬる 」の詩に出てくる月と星をイメージ。誉田屋源兵衛が100年以上に渡り保管してきた貴重な古箔を贅沢に使った帯と、光を通すガラスという、相反する素材の織りなす光のコントラストが、詩の持つロマンチックなムードそのままに、美しく幻想的な空間を作り出します。

ロウソクの灯りに照らされる、古箔に藤をあしらった唐織の帯と、月光をイメージしたガラス
誉田屋源兵衛の玄関に配置された、金の箔の帯と金色のガラスとブロンズ。重厚なゴールドが日本家屋の風景になじむ
庭園に配置された深い緑色のガラスで「竹」を表現したこちらの作品は、月へと帰って行くかぐや姫をイメージソースに
銀の古箔で雲隠れする幽玄の月を表現した帯と、夜露をイメージしたガラス

世界のテキスタイル界を舞台に、常に革新的な作品づくりを手掛けてきた誉田屋十代目・山口源兵衛氏。「染織」と「ガラス」と言う、東洋と西洋文化の異色ともいえる今回のコラボレーションも、そんな源兵衛氏の「共に戦いたい」という希望で実現したんだそう。二人の巨匠が作り出した幽玄の美を直接愛でに、ぜひ会場に足を運んでみて下さいね。

<展覧会概要>
Ippodo New York 10周年記念企画
誉田屋源兵衛280周年特別記念展
「誉田屋源兵衛×ラウラ・デ・サンティラーナ 月をこそ…」

<京都会場>
会期:2018年10月6日(土)~10月7日(日) 11~19時
   2018年10月8日 (月)11~18時
会場:誉田屋源兵衛 本社(京都市中京区室町通三条下る西側 tel. 075-254-8989)
(地下鉄「烏丸線烏丸御池駅」6番出口より徒歩6分)

<東京会場>
会期:2018年10月12日(金)~10月20日(土) 11~19時
会場:銀座一穂堂(東京都中央区銀座1-8-17 伊勢伊ビル3F tel.03-5159-0599)※月曜日は休廊日

問い合わせ先/銀座一穂堂
tel. 03-5159-0599


取材・文/辻本公子