作って飾る“植物標本”。話題の「ハーバリウム」を知っていますか? _img0
 


ハーバリウムは、美しくて手間がかからない「飾れる標本」


「ハーバリウム(Herbarium)」とは、本来「植物標本」のことです。標本として植物を保存することが目的ですが、いまでは「ガラスのびんなどに、オイルを使ってドライフラワーやプリザーブドフラワーなどを入れた作品全般」のことを指すようになっています。
閉じ込められた植物がオイルの光の反射によってより美しく見えることから、インテリア素材として美しい空間を演出します。また、手入れの必要はなく、1~2年はそのまま飾ることができます。
作り方はいたってシンプル。花材をカットし、ボトルの中へ入れ、オイルを注ぐだけです。
びんに入れる植物は花やグリーンを一種類だけでも、複数の植物のカップリングなどでも楽しめ、ハーバリウムの人気が高まるごとに、素材やびんの種類が増えています。
『イチバン親切! オリジナル作品が作れる! わたしだけのハーバリウムBook』の著者、福本幸子さんによると、
「ハーバリウムはどんどん進化しています。『植物標本』の枠にとらわれることなく、花びらの浮遊感や色彩を楽しんだり、ジオラマ的に植物とフィギュアをびんに閉じ込めるなど、アイデアと工夫次第でどんな作品も作れるようになっています。ただし、はじめてハーバリウムを作るときは、小さめのびんから始めると作りやすいです」とおっしゃいます。

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ハーバリウムとは「植物標本」のこと。花やグリーンなど植物を一種類入れるだけで愛らしい作品になる。
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グリーンを素材にするとナチュラルなテイストに。


ハーバリウムで物語を演出


ハーバリウムは植物の組み合わせだけでさまざまな作品が作れますが、フィギュアなどの小物を入れることで、他にはない表現をすることもできます。小さなびんの中だからこそ、凝縮された世界観のある物語が生みだせます。
例えば、サンタクロースやジャック・オー・ランタン(ハロウィンのカボチャの化け物)などで季節感を、ピーターラビットやテディベアなどで物語を演出するなど、動物や人のフィギュアを入れることもできます。
「お子さんと季節のイベントをテーマにしたり、物語を作って再現したりしてはいかがでしょうか?」(福本さん)。 
さらに、ハーバリウムの中に、スタンプを押したりメッセージを書き込んだカードをセットしたりすることも可能です。

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ハーバリウムにサンタクロースや雪だるまのフィギュアを入れて、クリスマスを演出。
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紙にスタンプして作ったピーターラビットも、ハーバリウムの中に。物語の世界が表現できる。


色と光を楽しむ


ハーバリウムの魅力の1つは、オイルによる光の反射です。自然光に透かせて、さまざまな色の花びらのグラデーションやいくつかのびんを組み合わせて、花材の美しさを際立たせることができます。
昼だけでなく、夜も魅力的になります。「ハーバリウム専用のLEDライトが販売されているので、びんの下からライトアップすると、幻想的な雰囲気を演出できます」(福本さん)。

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プリザーブドフラワーの花びらをびんの中に浮かせて、色を楽しむ。
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ライトアップで幻想的な雰囲気を醸し出したハーバリウム。このびんの底にはくぼみがあり、LEDライトを入れることができる。
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下からライトアップすることを計算して作った作品。ハーバリウム専用のLEDライトには10色以上の光を出せるものがある。

 

キャンドルとして楽しむこともできる


ハーバリウムの中身はオイルなので、キャンドル用のオイルを使えば、火を灯してキャンドルハーバリウム(ハーバリウムランプ)として飾ることもできます。ハーバリウムの作り方は同じですが、キャンドル用の金口を用意し、芯を適度な長さに切ってびんにセットします。
眠る前にちょっとお酒でも飲みながら、心休まるひと時を過ごせます。

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キャンドルハーバリウムは、ゆらめく炎とかすかに照らされる植物で癒し効果が高い。
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キャンドル用の金口と芯をセットして、専用のオイルを入れる。

まだまだ工夫できるハーバリウム。いままでにないハーバリウムの楽しみ方で、生活がもっと豊かになります。

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福本 幸子(ふくもとさちこ)

松村工芸株式会社 アンナサッカ東京 デザイナー。公益社団法人日本フラワーデザイナー協会講師。ゼネコンの現場監督から花業界へ転職。フラワースクール講師、生花店勤務を経てフラワー資材の製造、販売、輸入を行っている松村工芸株式会社に入社。店頭の作例制作、講習会を担当。お客様の声を直接聞き作例制作にも取り入れ、「作品に一工夫」をモットーに、花や植物がさらに美しく楽しい世界になるよう提案をしている。

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『イチバン親切! オリジナル作品が作れる!  わたしだけのハーバリウムBook』
著者  福本 幸子 講談社 1500円(税別)

ハーバリウムの基本知識から作り方までを、美しい作例写真と多数のプロセス写真で丁寧に解説。
「花1種でシンプルに」から「野の花やハーブを束ねて」「特別な日のために」「リースとスワッグ(壁飾りの花束)を空中に浮かべて」などをテーマにして、基本の作品から、リースや花束、キャラクターが入ったいままでにない作品まで、随所に工夫された最新アイデアレシピ66作品を紹介しています。
はじめてハーバリウムを作る人も、既存のハーバリウムに飽き足らない人も、新しい作品に挑戦したい人も満足できる1冊です!

『わたしだけのハーバリウムBook』のほか、料理、ファッション、ダイエット・美容など講談社くらしの本からの記事はこちらからも読むことができます。
講談社くらしの本はこちら>>

(この記事は2018年9月27日時点の情報です)
写真/大坪尚人、杉山和行(以上講談社)

・第2回「思い出の花や植物を残したい……花束の「ハーバリウム」の作り方」はこちら>>
・第3回「手作りのギフトにぴったり!話題の「ハーバリウム」を季節のイベントに」はこちら>>