miu0428さんからの質問
Q. がん後の体調不良が辛いけれど、
周囲に理解されません

甲状腺のがんと診断されてから半年後の今年4月、やっと亜全摘にて手術していただきました 声帯の神経を巻き込んでいたので 神経を切り、声を半分失いました。幸い抗がん剤の治療はなく、今は予後の検査通院をしております。そのため周囲は比較的軽いがんだと認識したようですが、実はひどい更年期のような体調不良や無気力が続いているのを理解してもらえず、「頑張って動け」、「子育て 介護もやって欲しい」などの要求に迫られ、正直心が崖っぷちです。できるならやりたいと思っていますが、体力が持たず、人のお世話をした日は夕方になると、内臓の芯から冷え切っている感覚に襲われ、布団にくるまっています。入眠剤を飲まないと寝られない状態はもう7年続いています。元気な中年おばさんになるどころか、気難しい人になっていく自分が嫌です。先生に言えば精神安定剤を処方され、運転もできず引きこもるしかなくなります。完治までは10年と先生はおっしゃいますが、大好きな歌も話すこともままならず、希望がなく突然泣き崩れることも。主人は無関心で、父母は自分たちの世話をどうしてくれるのかとプレッシャーをかけてくるばかりです。過去に3度開腹で手術を受けているため、周囲は切って取れば元気になると思っているようで、何度説明しても体調の悪さに理解が得られないことに絶望を感じています。(48歳)

特別ゲスト 樋野興夫先生の回答
A. 一番苦しんでいる人が頑張っていると、
まわりも胸を打たれて態度を改めることでしょう。

私は2008年にがん哲学外来を始め、これまで3000人以上のがん患者とその家族と対話を重ねてきました。その中で痛感したのは、日本人は皆人間関係に悩んでいる、ということです。かつては、会社での人間関係と家族との人間関係に悩む人と半々ぐらいでしたが、10年ほど前より会社の人間関係の悩みは少しずつ減ってきています。しかし家族との人間関係の悩みは、一向に減る気配がないのです……。

日本人の多くは、冷たい親族に悩み、温かい他人を求めています。夫ががんになった場合、多くが悩まされるのは奥さんの余計なお節介です。夫の体を心配して「食べろ食ベろ」と強要したり、「体に悪いから」と様々なことを制限したり。一方で奥さんががんになったとき悩まされるのが、夫の冷たさなのですよ。妻が病気にもかかわらず、自分の食事がどうなるのかを心配する夫も少なくありません。仮に心配した態度をとってくれたとしても、妻はそれまでの夫の冷たさを忘れられず、「今さら何よ」という気持ちになってしまうものです。なぜなら夫のその態度は、優しさではなく同情と哀れみからきているものだからです。そういう夫は大抵、妻が自分の言うことを聞かずに無理をすると、やがて怒るようになるのですが……。

患者さん本人に悲壮感が漂っていると、周囲は哀れみや同情を抱くようになるものです。しかし一番苦しんでいる人が頑張っていると、まわりは胸を打たれ、態度を改めます。チャウチャウ犬のような顔になりたいものですね。そのためには、小さなことに大きな愛をこめてやることが大切です。何事も無邪気に喜んでやる人のもとに、良き訪れはやってくるものです。

PROFILE

 

 取材・文/山本奈緒子 

 

ライフスタイルのお悩み回答者一覧