脳梗塞、乳癌を克服した麻木久仁子さん直伝! 薬膳発想の「春の鶏肉じゃが」_img0
 

脳梗塞、乳がん……。麻木久仁子さん「病気を克服し、55歳の今が一番元気」


平均寿命が80代を超えた現代の日本。年齢を重ねても、不調を感じず、元気に毎日をすごしたいというのは、多くの方の願いでしょう。
テレビでも活躍する麻木久仁子さんは、40代後半で脳梗塞、その後乳がんと次々に病気が発覚。さらには「疲れた」「眠れない」「イライラする」といった、漠然とした不調に悩むことも増え、根本的な「健康」を意識し始めます。

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そこで変えたのが「食事」。
麻木さんは食材の力をより意識した食生活である「薬膳」へと徐々に切り替えていったのです。そして‘16年には国際薬膳師の資格も取得。
この度、レシピ本『生命力を足すレシピ』が発売になりました。

「薬膳の考え方では、季節によって「邪気」が訪れると考えられています。たとえば秋なら「乾燥」の「燥」の字を使った「燥(そう)邪(じゃ)」。
この邪気により、秋は乾いた空気で気管支が弱ったり、肌が乾燥しやすくなったりします」(麻木さん)

薬膳では「口に入るものはすべて薬」という考え方があるので、いわゆる「ふつうの肉じゃが」にもきちんと意味があります。
しかし、どうせ食べるなら、その季節特有の邪気をはねのける食べ方をしませんか?
まずは定番メニュー、肉じゃがからはじめてみましょう。
 

基本の肉じゃが

生命力を「補う」じゃがいもと「巡らせる」たまねぎが一緒にとれる肉じゃがの基本の作り方です。

 材料(2人分)
【食材】
・牛薄切り肉…100g
・しらたき…100g
・じゃがいも…2個(200g)
・たまねぎ…1/2個(100g)

【調味料】
・太白ごま油…大さじ1
・酒…100ml
・砂糖…大さじ1
・みりん…大さじ2
・しょうゆ…大さじ2

 作り方 
1 牛肉としらたきは食べやすい大きさに切る。じゃがいもは皮をむき、一口大に切る。たまねぎは薄切りにする。
2 鍋に油を入れて中火で熱し、じゃがいもを炒める。牛肉・たまねぎ・しらたきを入れ、酒を回しかける。
3 沸騰したら、砂糖・みりんを加えて密閉できる蓋をし、弱めの中火で10分煮る。
4 しょうゆを入れて蓋をし、弱火で10分くらい煮る。蓋を取り、火を強め、照りが出るまで鍋をゆすりながら煮詰める。あれば、筋を切ってゆで、細切りにした絹さやをのせる。

【こんなときに食べよう】
ホクホク感がおいしいじゃがいもは、生命力を補ってくれる代表食材。しかも消化が良いので、疲れた胃腸にも優しいのです。そのじゃがいもの最高の相棒が、じつはたまねぎ。たまねぎは「理気類」といって、生命力を体中に巡らせてくれる食材、ガソリンとエンジンのような、切っても切れない関係で成り立つ料理、それが肉じゃがなのです。
春・夏・冬の肉じゃがは、しらたきを入れていません。そのかわり、作り方3で水50mlを足してください。

 

季節ごとのアレンジ


「春」鶏肉じゃが

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変える 牛薄切り肉→鶏もも肉(1cm大に切る)
足す グリンピース80g(1分塩ゆでする)

春は、冬の間締め切っていた体の窓を開いて、グーッと伸びをするような季節。鶏肉には生命力を補う力があり、グリンピースには、閉じ込めていたものをスムーズに巡らせる回転力があります。塩ゆでしておけば、最後に加えてサッと煮るだけ。


「夏」とうもろこし肉じゃが

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変える 牛薄切り肉→豚薄切り肉
足す とうもろこし粒80g(ゆでて芯から外す)

日本の夏はじめじめ、蒸し蒸し。そんな夏の体のむくみをとってくれるとうもろこしを、たっぷり入れました。この季節は缶ではなく、生からゆでて。自然な甘みと豊かな香りから、旬の生命力を感じます。最後に加えてひと混ぜするだけでOKです。


「秋」白ごま肉じゃが

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変える 牛薄切り肉→豚薄切り肉
足す 白ごま 大さじ1、白ごまペースト(市販) 大さじ1

冬に向かって乾燥していく秋。外の影響を最も受けるデリケートな臓=肺を潤してくれるのが、白ごまです。皮膚の乾燥にも◎。仕上げにふって。豚肉も、体に潤いを与えてくれるので、秋におすすめの食材です。白ごまペーストは3で砂糖・みりんと一緒に入れてください。


「冬」きくらげ肉じゃが

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足す 黒きくらげ50g(水で戻した状態で。一口大に切る)、黒こしょう 適量

冬の色である「黒」をたっぷり使った肉じゃがです。プリプリ食感がおいしい黒きくらげは、肺を潤し、胃腸の調子を整えてくれます。2で牛肉・たまねぎ・しらたきと一緒に炒めましょう。黒こしょうは体を温め、食欲を増進させる作用が。煮る前に加えてください。

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国際薬膳師
麻木 久仁子(あさぎ くにこ)

1962年、東京都生まれ。テレビやラジオ番組で司会者、コメンテーターとして活躍するほか、クイズを中心にバラエティ番組にも出演。読書家としても知られ、ウェブサイトや新聞で書評を担当する。2010年に脳梗塞を発症。12年には乳がんに罹患し手術を受けたことから、講演会などで自身の経験や検診の大切さを伝えている。また、16年には国際薬膳師の資格を取得。現在は祐成陽子クッキングアートセミナーにて、薬膳講座の講師も勤める。18年2月に自著『ゆらいだら、薬膳』(光文社)を出版。

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『一生、元気でいたいから 生命力を足すレシピ』
著者  麻木 久仁子 文響社 1180円(税別)

だるい、疲れた、イライラする、ほてる、眠れない…こんな不調を吹き飛ばすのが食事で足せる「生命力」です。
肉じゃが、ハンバーグ、焼き飯、餃子など定番料理に「足す」「変える」ことで、元気になれるヒントが満載。

【食事を変えたら、こんなにいいことありました】
・肌の調子が良くなった
・くよくよ・イライラすることが減った
・疲れが出にくくなった
・季節の変わり目に不調が出にくくなった
・体調を崩しても、回復が早くなった
・いつも機嫌が良くなった

撮影/寺澤太郎
スタイリング/中里真理子
構成/片岡千晶(編集部)