先日、キャンプに行きました。気の置けない友達とテントと寝袋と食料を持って。

私はキャンプが好きです。自然の気持ち良さを思いっきり体感できることはもちろん、便利な日常にはない「不便さ」を体験し、それをやりこなすことで得られるカタルシス。それを味わうことがどうやら好きなのです。

「不便なこと」を楽しめますか? 私がキャンプ好きな理由_img0
たまにしかテントをたてないものだから、なかなかに頭を使う作業になってはしまうのですが、強度を確保する骨組みを最低限の手間で実現させようとしてくれるあり方や寒暖差で結露しないように工夫されている機能面の工夫など、テントが備える合理性にいつもウットリしています。


太陽、火、水……日常の当たり前の有り難みを感じつつも、キャンプの中でくり広げられる創意工夫は本当に楽しい。水を汲みに行くとこから始めなければならない珈琲をいれるためにかかる手間も、湿気た薪に火をつけることがどれほどまでに大変なのかも、都心の日常では絶対に味わうことができません。

「不便なこと」を楽しめますか? 私がキャンプ好きな理由_img2
キャンドルに火を点し、即席のバースデーケーキ。風が強すぎて、なかなか上手につけれない歯痒さもキャンプならでは。
「不便なこと」を楽しめますか? 私がキャンプ好きな理由_img4
お皿に並べただけ。切ってあえただけ。切って火にかけただけ……そんな簡単メニューたちもキャンプだと“ごちそう”に思える不思議。以前インタビューした伊藤まさこさんの著書『おいしいってなんだろ?』の中にも、スケート場で食べるカップラーメンの美味しさについて書かれていましたが、そうそう、食事の美味しさは、何を食べるかよりも、むしろシチュエーションで引き出されるもの!


キャンプ場を見渡しても、わざわざ「不便」を楽しみにきている方たちはたくさんいるわけで。それも年々増えており、リピーターは定着していっているようです。私の勝手な仮説ですが、「世の中に便利が増えていくことで、キャンプ人口はどんどん増えていく」。そんな気がしています。

「不便なこと」を楽しめますか? 私がキャンプ好きな理由_img5
今、いちばんしたいことは、バックパッカーになることです(笑)。目的を持たずに、ただただ自分の感じることを大切にする冒険の旅に出かけたいです。


以前インタビューした稲垣えみ子さんも言っていました。「AIに私たちの日常のことすべてを委ねてしまったら、私たちの生活から考える楽しさはどんどん奪われてしまうと思う」と。気がつけば、「あなたにオススメ!」がどんどん目に飛び込んでくる世界を生きている私たち。これからそれが加速する時代を生きていかねばならない私たち。「やりたいこと」「欲しいもの」を自分が考える前にどんどん潜在的にインプットされ、おそらく「自分の好きなこと、気持ちいいこと」と「AIのリコメンド」の境が知らず知らずのうちにどんどん曖昧になってくるのだと思います。自分が考えて出した答えなのか、AIが導き出した答えなのか、分からなくなってしまうし、どちらでも良くなってしまう世界がきてしまうのかもしれません。悩む苦労を他者に委ねるかわりに、私たちは大切な何かをこのまま放棄してしまうのでしょうか?

だからこそ、今のうちに「自分の好き!」「自分が気持ちいいと思うこと」は自分の中にしっかりと。

夜中にトイレに行くため、寝袋から抜け出てテントから這い出し、昼間とは違うキンキンに冷えた山の空気にブルッと震えながら、私はそんなことを思います。

今日のお品書き
パリッとしたシーツ、本当に気持ちいいですよね! 熊倉さんのベッドメイキング術、「私もこんな風に生活していきたい(でも、全然できない)!」と羨望しかありません笑。