米倉涼子さんが、過去に観た映画を紹介するアーカイブ コレクション。
そのときに観た映画から、米倉さんの生き方、価値観が垣間見えます。
女子がときめく要素がたくさんつまっている『アンナ・カレーニナ』。ヒロインを演じたキーラ・ナイトレイの美貌よりも、ファーがたっぷりのゴージャスな衣裳やジュエリーにまずは目を奪われてしまいました。キーラが演じたのは、社交界の華でありながら年下の青年将校との愛に走ってしまう女性。
たとえ恋に溺れたとしてもアンナのようにはなりたくないと思うほど、優雅だけれど痛々しい空気を放っている女性です。古典をもとにしたラブストーリーですが、ユニークなのは演劇のような手法が採用されていること。
音楽はダイナミックだし、舞台のセットのような背景が動いて次のシーンへと移ったりする演出も出だしは、おおっ! と思わされるのですが、後半になってくると、ちょっと狙いすぎかな? という印象も。とはいえ、恐らく完璧主義者であろう監督が作った、細部まで美しい世界をたっぷりと味わえる作品です。
このページは、女性誌「FRaU」(2013年)に掲載された
「エンタメPR会社 オフィス・ヨネクラ」を加筆、修正したものです。
『アンナ・カレーニナ』
19世紀、ロシア。政府高官の美しい妻である社交界の華、アンナ・カレーニナは、若き将校と許されない恋に落ちる。文豪トルストイの傑作をジョー・ライト監督が、これまでも『つぐない』などで組んできたキーラ・ナイトレイ主演で映画化。