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『ファースト・マン』 公開日:2019年2月8日(金)全国ロードショー 配給:東宝東和 ©Universal Pictures

映画『ラ・ラ・ランド』公開のタイミングで日本に来日したときにお会いしたこともある、大好きな俳優のライアン・ゴズリング。彼が月面に初めて着陸した宇宙飛行士、ニール・アームストロングを演じた映画『ファースト・マン』を観てきました。
元々SF映画がちょっと苦手で、観る前は『ゼロ・グラビティ』のように無重力を感じさせる静かな映像が広がる作品かな、もしそうならちょっと退屈しちゃうかも、なんて心配をしていたのですが、飛行訓練をする冒頭のシーンからその予想は完全に覆されることに! ハイテクな装備があるわけでもない宇宙船のコックピットのなかに乗り込むシーンでは、まるで自分まで閉じ込められたかのようなリアルな恐怖を感じました。
映像の力はもちろんこと、ガタガタピシピシという音がするたびに空中分解しそうで本当に怖すぎる……。デイミアン・チャゼル監督の前作『ラ・ラ・ランド』とはまったくジャンルは違いますが、音の使い方へのこだわりは監督ならではなのかもしれません。

鑑賞後、ポスターの前で

60年代に遊園地の乗り物みたいな宇宙船に乗って月まで行ったなんて奇跡的なことだと思うし、当時の宇宙飛行士たちは死を覚悟してミッションに挑んでいたんでしょうね。
厳しい訓練を重ねてもソ連に先を越され、墜落事故や火災で大切な仲間を失い……、苦労して任務をまっとうしていくプロセスが臨場感たっぷりに描かれています。
成功した人に対して「努力が報われて運がよかったね」と声をかける人もいるけれど、偉業の裏側にはそんな簡単な言葉では片付けられないいくつもの犠牲がある。そのことを突きつけてくる映画でした。

 

私も『ドクターX』で宇宙に行ったことがあるのですが(笑)、宇宙服のように閉塞感のある衣装を着るとパニックになってしまうので、「すみません、本当に無理です……」と謝ってCGで処理してもらったんです。
そんな経験をしているから、ライアン・ゴズリングをはじめとする俳優陣には尊敬の念しかありません。ライアンはあまり感情を表さないニールの使命感や情熱を静かに表現していて、ぐっと引き込まれました。この映画で描かれているのは宇宙飛行士の物語でもあり、夫を支える妻の物語でもあります。ヒューストンでの家族の暮らしぶりも興味深かったし、何より地球に帰ってきたニールがガラス越しに奥さんと手を合わせるシーンがとても美しかった! 
終わった瞬間は思わず「は〜! 疲れた〜!」と言ってしまったくらい集中して観ることができた、“映画らしい映画”。ぜひ映画館の大きなスクリーンで楽しんでみてくださいね。

 

『ファースト・マン』
アカデミー賞6部門に輝いた『ラ・ラ・ランド』。その監督と主演を務めたライアン・ゴスリングが再タッグを組んだ今作は、1969年に人類初の月面着陸に成功した宇宙飛行士、ニール・アームストロングの物語。過酷な訓練、宇宙飛行士たちの絆、様々なトラブルやミスで散った仲間たちの命。ニールを支える家族や秘話など、これまで明かされなかった歴史に残る奇跡の偉業のすべてが明らかに。

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