そこで、道具に頼るのではなく、
「好きか嫌いかを意識しないくらい、習慣化する」

「これから歯を磨かなきゃ!」と自分を奮い立たせなくても、朝起きたら歯を磨くのが当たり前であるように、嫌いな家事を習慣化し、何かのついでに一連の作業としてやることにしたそうです。

 

お風呂掃除については、松尾さんがお風呂から出たついでに掃除を組み込むことに。お風呂場が濡れているうちに、タオルでバスタブや床をふくことで、「ヌルヌル」化を防ぐことに成功。とはいえ、洗剤での掃除も必要です。そこで、松尾さんはネイルサロンに行く前日をお風呂掃除の日に決めたのです。毎月1回のネイルサロン通いの前日であれば、ネイルが欠けたり、ストーンが取れたりしても気にせずに済みます。あとはこれを繰り返して習慣化するのみ。「お風呂掃除ができたら、ネイルサロンにいってネイルをきれいにできる!」と、前向きにこなせるようになったそうです。

お風呂場の「ヌルヌル」といえば、お風呂のイスや洗面器の裏側も要注意ポイントです。入浴時に使うものなのに、ヌルヌルしてしまっては触るのも嫌になってしまいます。そこで松尾さんが取ったのは、「イスをなくす」という手段でした。イスという元凶がなくなれば、ヌルヌルに悩まされることもありません。実際、イスをなくしたところで入浴にはなんの支障もなかったそう。洗面器はさすがに必要ではあるものの、壁かけタイプのものに交換したことで、こちらのヌルヌルからも解消されたとのこと。

どれも小さな工夫ですが、着実に「もやもや」が解消されたという松尾さん。家事が好きではないことには変わりありませんが、そこそこきれいな状態を保てるようになり、快適な毎日を過ごせるようになったそう。

「私の家事ポイントは、『極力時間をかけない』『気づいたら少しずつやる』『家事をほかの流れに組み込んで習慣化する』といったこと。これらのポイントを押さえてそこそこの状態を保てているので、年末に大変な大掃除をやることもなくなりました」

日々の小さな積み重ねであれば、そう労力もかからないはず。松尾さんのノウハウを参考に、「あとでまとめてやろう」という気持ちからの脱却を目指してみては?

 

<著書紹介>
『部屋が片づかない、家事が回らない、人間関係がうまくいかない 暮らしの「もやもや」整理術』

松尾たいこ 著 1400円(税別) 扶桑社

人間関係、仕事、家事など、毎日の暮らしのなかで感じる「もやもや」した感情。これは嫌なことを我慢していたり、抱え込んで、暮らしが滞っているサイン。この「もやもや」という感情を見逃さず、ひとつずつ原因を解消していくことで、確実に生きるのがラクになります!
「八方美人にならなくていい」「仕事は全部自分でやろうとしない」「苦手な家事はハードルを下げる」など、
アーティスト・イラストレーターの松尾たいこさんが、「もやもや」した感情を減らすためにたどり着いた、人づき合いのコツ、SNSとのつきあい方、家事の減らし方、ものの選び方、整え方を紹介。
これからの人生を心地よく生きるためのヒントが満載です。

アーティスト/イラストレーター 松尾たいこ

広島県生まれ。短大卒業後、約10年の自動車メーカー勤務を経て、32歳だった1995年に上京。セツ・モードセミナーに入学し、98年よりフリーのイラストレーターに。 書籍の装画やCDジャケット、大手企業広告などに作品を提供。ファッションにも造形が広く、幅広い年齢層の女性に人気がある。夫はITジャーナリストの佐々木俊尚。近著に『35歳からわたしが輝くために捨てるもの』(かんき出版)、『クローゼットがはちきれそうなのに着る服がない! そんな私が、1年間洋服を買わないチャレンジをしてわかったこと』(扶桑社)など。

 
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