日々の生活でふと感じる「もやもや」。これをうまく活用して、身の回りのものを捨てて整理し、おっくうになりがちな家事の効率アップをはかってきたのがアーティスト/イラストレーターの松尾たいこさん。著書「部屋が片付かない、家事が回らない、人間関係がうまくいかない 暮らしの『もやもや』整理術」には、たくさんのヒントが詰まっています。モノや家事の「もやもや」を減らしていくと、もう一つ、別の「もやもや」が気になるようになったというのですが――。

ものやことの「もやもや」が減ると、
人間関係の「もやもや」が気になってきた。


「日々の暮らしを少しでも楽しくて快適にするために、ものを減らしたり、家事を簡略化したりしていろんな工夫を重ねてきました。ところが、一方で人間関係の『もやもや』が気になるようになったんです」

という松尾さん。例えば誰かと話をしている時、妙に上から目線でつっかかられたり、自分とは違う意見を押し付けられたりして、「ちょっと違うんじゃない?」と思ったものの、ぐっと自分の気持ちを抑えつけてしまったといったことは、誰にでも思い当たるはず。使い勝手の悪いものを捨てることくらいなら自分の判断ですぐに実行できますが、人間関係は相手がからむこと。「もやもや」するからという理由で、いきなりその人と絶縁するわけにもいきません。

身の回りの「もやもや」を小さなものから着実に解消してきた松尾さんは、ある時、「人間関係も同じかも」ということに気がついたといいます。

 

「私が身の回りで『もやもや』した時、なんでそう感じてしまうのか、その原因を探って自分なりに工夫して解消してきました。小さな“成功体験”の積み重ねで自信をつけてきたこともあり、相手があって複雑そうな人間関係の『もやもや』だって、同じようなやり方をすれば、心地いい関係性を築くことができるんじゃないかと思ったんです」

実は松尾さん、昔から自分に自信が持てなかったそう。そのため、誰かに強く言われたり、気乗りしないのに強引に誘われたりすると、心の奥底では嫌だと思っているのに、「もしかしたら私のほうが間違っていたのかも」と、その気持ちにフタをしてしまうことが多かったというのです。

「でも、ものやことの『もやもや』を減らして、暮らしが快適になってから、気持ちに余裕が生まれました。また、私が本当に求めている“心の声”を鮮明にキャッチできるようになったのです」
 

人間関係の「もやもや」解消も、
小さなところから取り組んでみる


ものやことの『もやもや』を減らすのに、小さなことから取り組んでいくとやりやすいもの。それは人間関係の『もやもや』解消も同じだと松尾さんは指摘します。

その第1段階として松尾さんがおすすめするのは、「思ってもいない同意はやめる」ということ。

 
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