例えば、「あのお店っておいしくないよね」と言われたとします。自分はそう思っていなくても、その場をやりすごすために「そうだね」と同意してしまうことはありませんか? そこで、特に返事をせずに流してみるというのです。一瞬気まずい雰囲気になるかもしれませんが、会話はすぐに流れていきます。思ってもいないことに同意しなければ、あとで「本当は違うんだけど」と「もやもや」することもありません。

第2段階は、「相手が意見を言う前に、自分が先に言う」という方法です。みんなでランチに行く店を決める時に、誰かが「パスタはどう?」と言ったあとで、「私はおそばがいい」とは言い出しにくいもの。そこで、「私はおそばが食べたいけど、どう思う?」と先手を打って意思表示してしまうというのです。

 

「最終的におそばにならなかったとしても、自分の意見を言えたという事実は小さな自信につながります。相手の意見に合わせて表面的に仲良くするのではなく、お互いが対等で尊敬し合える関係性のほうがいいと思いませんか?」

松尾さんが「もやもや」解消のために、こつこつと積み重ねてきた“小さな成功体験”の一部を3回にわたって紹介してきました。「もやもや」という感情をそのままにせず、きちんと向き合うことで日々の生活や人間関係、ひいては生きることが楽になっていったという松尾さんが、「もやもや」解消に本格的に取り組み始めたのは40代以降のことだそう。いつでも、いつからでも始められる「もやもや」解消法、ぜひ試してみては?

 

<著書紹介>
『部屋が片づかない、家事が回らない、人間関係がうまくいかない 暮らしの「もやもや」整理術』

松尾たいこ 著 1400円(税別) 扶桑社

人間関係、仕事、家事など、毎日の暮らしのなかで感じる「もやもや」した感情。これは嫌なことを我慢していたり、抱え込んで、暮らしが滞っているサイン。この「もやもや」という感情を見逃さず、ひとつずつ原因を解消していくことで、確実に生きるのがラクになります!
「八方美人にならなくていい」「仕事は全部自分でやろうとしない」「苦手な家事はハードルを下げる」など、
アーティスト・イラストレーターの松尾たいこさんが、「もやもや」した感情を減らすためにたどり着いた、人づき合いのコツ、SNSとのつきあい方、家事の減らし方、ものの選び方、整え方を紹介。
これからの人生を心地よく生きるためのヒントが満載です。

アーティスト/イラストレーター 松尾たいこ

広島県生まれ。短大卒業後、約10年の自動車メーカー勤務を経て、32歳だった1995年に上京。セツ・モードセミナーに入学し、98年よりフリーのイラストレーターに。 書籍の装画やCDジャケット、大手企業広告などに作品を提供。ファッションにも造形が広く、幅広い年齢層の女性に人気がある。夫はITジャーナリストの佐々木俊尚。近著に『35歳からわたしが輝くために捨てるもの』(かんき出版)、『クローゼットがはちきれそうなのに着る服がない! そんな私が、1年間洋服を買わないチャレンジをしてわかったこと』(扶桑社)など。

 
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