人生100年時代が到来しています。100年といっても実際にはもう少し短いですから、40代はちょうど人生の折り返し地点となります。筆者はこれからの時代、キャリアもプライベートな生活も、40代で一度、棚卸しをすることが重要だと考えています。すべてに共通するテーマは生活のコンパクト化です。
生活のコンパクト化というのは、余分なムダをそぎ落とし、スッキリとした空間で、シンプルに生活という意味です。これが実現できると、年齢を重ねたことによるカラダの変化に無理なく対応でき、お金の面でもムダな支出が少なくなります。こうした生活環境が構築できると、やがて訪れる「老い」という課題にもスムーズに対応できるでしょう。
若い時は、あれもこれもと欲張りに考えてしまうものです。これはこれで、人生を前に進める原動力となりますから、貪欲であることはむしろよいことだと筆者は考えます。経済学的に見ても、良い意味でアグレッシブな人が多い社会は基本的に豊かです。
しかしながら40代になると、体力的にはそろそろ下り坂に入ります。人によっては記憶力などにも衰えが出始めますが、一方で、判断力や思考力など、いわゆる「知恵」の部分については、若い時代よりも能力が向上すると言われています(これらは経験値による影響が多いと考えられます)。
したがって40代以降は、行動力よりも思考力を生かすことを重視し、ライフスタイルもそれに合わせて変えていく方が合理的です。具体的には家の中にあるモノを徐々に処分し、ゆとりのあるスペースを確保して、落ち着いて思考を巡らすことができる環境を作っていくのです。
スペースを確保することは家の中のリスクを減らすことにもつながります。人は年齢が上がっていくと、同じ行動を取るためにより広いスペースを必要とします。
若い時であれば、棚の奥にある皿を腕をねじって取ることができたかもしれませんが、そうした無理は効かなくなります。今は、モノを持って体を回転させても、家具にぶつかることはないかもしれませんが、いずれ、あちこち不用意にぶつけるようになる可能性が高いでしょう。家の中に余裕を持たせることで、さらに歳を取った時の安全性や快適性を向上させることができるのです。
ここで、とりあえず断捨離をして、一気にモノを捨ててしまおうと思った人は、少し立ち止まってください。
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